月見草エキス配列のカスタマイズ

月見草エキス配列をさわり始めてから約3ヶ月。気持ちよく打鍵できるパターンとそうでないものが見えてきました。もとのままでは自分には合わないなと思い始めたので、キー割り当てをいじってみることにしました。

月見草エキス配列の合わないところ

まだまだ打鍵速度は遅いが、ブログ記事をかけるくらいには月見草エキス配列を習得した。 拗音打鍵がかなり気持ちいいことを実感する一方、自分には合わないなと思う点がでてきた。 以下は月見草エキス配列のキー割り当て図。

月見草エキス配列

自分に合わないなと思うのはこれらの点。

  • 右小指の割り当てが多く、打ち分けるのが難しい
  • 運指が辛いパターンがある一方で、自分は打ちやすい運指に割り当てがない

それぞれ以下に詳細を述べる。

右小指の割り当て

月見草エキス配列では、右手のホームポジションの1列外側にもかな割り当てがあり、そのために小指で5キーを打ち分ける必要がある。これがどうも自分には難しい。 「ふ」、「こ」がとても遠くに感じ、ミスタイプが多い。 また「っ」もミスタイプが頻繁に起こる。 長年QWERTY配列のローマ字日本語入力に慣れたせいなんだろうか?これらのキーはローマ字の入力には必要ないので訓練されていないのかもしれない。 あるいはそもそも小指でホームポジションの外側は器用に打てないのか?

市販品日本語キーボードでかな入力をする場合、Lキーの3つ右までかな割り当てがある。 普段かな入力をしている人はそのことに慣れていて、右小指もよく訓練されているのだろうか?

運指が辛いパターン

以下は自分にとって運指が辛い割り当て。「」は月見草エキス配列での割り当て、()はロースタッガードのQWERTY配列でのキー割り当てを表す。

  • 「ざ」(CF)
  • 「ち」(’I)
  • 「み」(/I)
  • 「ひ」(.I)
  • 「び」(,O)
  • 「ふぇ」([O)

ただし「ざ」は、自分がCキーを人差し指で打鍵するせいかもしれない。

運指が悪くないのに割り当てがないパターン

後置シフトとの組み合わせで、(自分にとっては)打ちやすいのに割り当てが無いパターンは以下の通り。

  • (CE)「はゃ」
  • (CI)「はぃ」
  • (XO)「でぇ」
  • (ZO)「きぇ」
  • (QO)「ーぇ」
  • (RO)「くぇ」

CEに割り当てがないのは理解できる。教本的な指使いなら同じ指で別のキーを連続打鍵することになるからだ。 そういうパターンは打ちづらい。 自分はCキーを人差し指で打鍵するので辛くない。CEは英語では名詞の末尾など頻出するパターンなのでこれに適応した気がする。 上のかな2文字は日本語では出現がないようなパターンとなっているので、前述の打ちづらいパターンの置き替え先として都合がいい。

キー割り当てをどう変更するか?

最も辛く感じるのは右手の小指の打ち分けだ。「ふ」と「こ」を別のキーに割り当てたい。

これを考え始めた時に、実は「、」の割り当て位置も気になっていることを思い出す。 「は」とのつながりがとても悪いのだ(同じ指による違うキーの連続打鍵)。 一方「。」は文章を書くときには流れるように打てる。「す」や「た」などとのつながりがよい。 このことが「、」の割り当てがしっくりこないことをより強く意識させる。 そこで「ふ」、「こ」、「、」を入れ替え、どれか一つは上に挙げた運指が悪くない2打鍵へ押しやることを考える。

「ふ」、「こ」、「、」の頻度は、ここによれば、それぞれ58位(0.403%)、15位(2.210%)、11位(2.614%)となっている。別のサイトでは53位(0.465%)、16位(2.128%)、9位(2.874%)となり近い。 どのようなサンプルを分析するかで多少の差異はあるが、ざっくり言えば「、」と「こ」は同程度に頻度が高く、「ふ」はそれに比べると頻度が低い。

そういう点では「ふ」を2打鍵に押しやるのが良さそうだが、この拗音も同じキーの後置シフトになっていて、セットになっている。 これは崩したくない。 そこで「ヴ」とそっくり入れ替えてしまうことにする。 自分的にはこの方が「ふ」をタイプしやすい。 「ヴ」は頻度が低いだろうから打ちづらくても気にならない。 また「け」の後置シフトは「ぁぃぅぇぉ」。もともと拗音が割り当てられている配列なので、これらを独立して打つことはほとんどないはず。 そこで、「こ」の後置シフト(「ち」とその拗音)と入れ替えることにする。 後は「こ」の単打鍵を移せればよい。

頻度は「、」の方が「こ」よりも高いので単打にすべきだろう。ただ自分の打鍵癖だとGキーは最適ではない。「、」の前に来る文字の頻度をここのデータから調べてみると、「は」が最も出現率が高い。しかし自分はCも人差し指で打つので、同じ指で違うキーの連続打鍵となって速く打てないし、打ちづらい。

「、」の前の文字の頻度

一番頻度の高いパターンが打ちづらいのはやっぱり避けるべきと思うので、「、」は動かすことにしてGキーの単打に「こ」を配置する。 では「、」をどこに動かすか?

「、」を上に挙げた打ちやすい2打鍵にした場合に、どれが打ちづらいかも調べてみたのが表の右側。 頻度が20位までで88%を占める(4列目の数値)ので20位までを考えることにする。 打ちづらいパターンの割合だけ書き出し、その和をとるとCE、CIが16%と最も低くて成績が良い。 このうちCEはもともとCFに割り当てられていた「ざ」に割り当てることにする。 変更前と同じ左手2打鍵でマイナーチェンジで済むからだ。 よってCIに「、」を割り当てることにする。 またピンクで数値を示したパターンはCを人差し指で打つという自分の癖のために打ちづらいのだが、これを中指で打てるように訓練できれば一転して打つのが気持ちいいパターンになる。 このこともCIに「、」を割り当てる理由となった。

そんなわけで打ちづらい「ざ」は(CE)に割り当てることにする。 一方で「み」「ひ」「び」は動かしづらい。拗音がセットになっているからだ。 これはすぐに解決策が浮かばないので、ひとまず元のままにしておくことにする。

変更後の配列

変更後の配列図はこの様になった。

月見草エキス配列kc-ed (ver1)

変更点まとめ

  • 「ふ」([)とその後置シフト、「ヴ」(Y)とその後置シフトの入れ替え
  • 「こ」(’)の後置シフトの「ち」とその拗音と、「け」(B)の後置シフトを入れ替え
  • 「こ」(’)の単打を「、」(G)へ
  • 「、」を(G)から(CI)に
  • 「ざ」の割り当てを(CF)から(CE)に

さて、これをオリジナルの月見草エキス配列と区別するために名前がいる。 「月見草エキス配列kc-ed」と呼ぶことにする。

あとがき

やはり実際にさわってみるといろいろ気づくことがあります。 またひとつでもかな配列をさわってみると、今まで他人事で全く関心のなかった様々なかな配列の割り当て図を見るのが面白くなってきたので不思議なものです。

この記事は自作したオリジナルキーボードpbkb48(月見草エキス配列)で書きました。

かな配列を実用化するに向けて

ようやく月見草エキス配列でのかな入力に慣れてきました。 ただブログ書きなど実際に使用するためには、かな以外のことも考える必要があります。 この記事ではそのことについて少し整理してみます。

かな入力実用化のための課題

月見草エキス配列でのかな入力を練習し始めて約3か月、キー割り当てをマスターし、ゆっくりだが入力できるようになってきた。 実際に使える気がしてきているので実用することを考え始める。 QMK firmwareで月見草エキス配列を実現しているが、実用する場合にはかな以外のことも考えないといけない。

Windowsでの日本語入力・英語入力、IMEの切り替えをどうするか?

市販のキーボードのようにスペースの左右の位置に言語切替キーを配置し、QWERTY・月見草エキスのレイヤー切り替えと同時にIMEの日本語・英語入力の切り替え(Alt+`)を割り当てている。 しかしこの方法は完璧ではなく、IMEの日本語入力の状態がしばしばずれてしまう。 キーボードでWindowsのIMEの状態を拾う方法が無さそう(だれか知っていたら教えてください)なので、別キーにIMEの切り替えをするキー(CAPS LOCKの位置)を割り当てておく。 キーボードのレイヤーの状態とPC側の言語入力の状態がズレた場合にはこのキーを押下して状態を合わせることする。

Ctrl+C, Ctrl+Vなどの操作をどう実現するか?

Ctrl+C、Vでのコピペなど、自分はキーボードショートカットを多用する。 キーの割当を変更しても、これらの操作は手が覚えているので同じキー位置でできるようにしたい。 これはCtrlを押下時はQWERTY配列になるようにしておけば解決できる。

日本語の文章の中に英語や記号を入れたい場合にどうするか?

月見草エキス配列では「/」(スラッシュ)キーにも単押しで「っ」が割り当てられているので、何もしないとスラッシュや「?」が月見草エキスのレイヤーで入力できない。

これは、Ctrl+Cなどと同様にShiftキーを押下時にQWERTY配列になるようにしておけば?などの一部の記号は解決できる。 「/」などはこれでは対応できないので、スペースキーの長押し時はQWERTYレイヤーに移るようにしておく。

後置シフトキーの動作

月見草エキス配列のように後置シフトを使う場合、1キーを押下しただけでは入力文字は確定せず、後置シフトが次に押されるかそうでないかで初めて入力文字が確定する。 これをQMK firmwareで実装しているが、確定してから文字列をキーボードから出力しているので、未確定の場合はPC側は何も反応がない。 これはUI的にはうまくない。 例えば単押しで「う」(QWERTY配列でのDキー)をタイプしたら「う」がPCで表示され、次にFキーの位置の後置シフトキーをタイプしたら「う」が「お」に置き変わってほしい。

これはどうしたらいいかわからない。 PC側はローマ字入力受付状態にしておいて、キーボードからは「u」を出力してかな入力を実現している。 これはQWERTY配列でのローマ字入力もできるようにしておくためだ。 上のようなことを実現しようとするなら、例えば単押しの文字の「u」をまずキーボードから出力し、後置シフトが押されたらBSと「o」を出力すればいい。 でも「しょ」などの拗音を含む場合はBSを出力する必要がない。 この場合分けとかを考えるのが面倒...。 さらにタイピングテストなどではミスタイプとして誤ってカウントされてしまう。

どうしたもんかなぁ。 これを解決するための良いアイデアがない。

とりあえずShiftやCtrlなどを押下した場合には単押しを確定するようにしておく。

持ち運び用キーボードへの実装

40%サイズの持ち運び用キーボードにも月見草エキス配列を実装しておく。 ただ、いざ実装しようとすると問題が。 キー数が足りないのだ。 以下は使用している持ち運び用キーボードpbkb48と月見草エキスの配列図。 「JKL-」、「たいんに」が右手のホームポジション。つまり「こ」はEnterキーの位置になる。

持ち運び用キーボードのキー配列。割り当てはこの図から変更する。

月見草エキス配列

とりあえず、Enterキーに「こ」を割り当て、スペース長押し+EnterでEnterとしている。でもこれが全然慣れない。 また「っ」の小指の打鍵も通常のキーボードに比べて1キー遠いので辛い。 右手に1列増やしたキーボードをつくるのが良さそうだが、「っ」の位置は上矢印と入れ替えることでも良さそう。 一方で月見草エキス配列の右小指の割り当てがいいのか?という疑問もある。

月見草エキス配列の右小指の割り当てなど

月見草エキス配列をしばらく使ってみて感じたのは、右小指の割り当てが多いこと。 5キーが割り当てられている。 「に」(QWERTY配列では「-」)はホームポジションなので違和感はないが、 「ふ」、「こ」はQWERTY配列では記号になっている場所で、自分は今までかなの入力に使ってこなかったキーだ。 また、「み」や「ち」の運指もまだ自分は辛い。

月見草エキス配列では、「ぎ」、「ち」、「み」、「ひ」などは後置シフトの音(これらは場合は「ぃ」)にあわせて割り当てを決められている気がする。 覚えやすいが、そのために運指が辛くなっている(自分が慣れていけないだけかも?)。

他にも自分は「ざ」の運指が辛い。一方でQWERTY配列で鍛えられた「CE」(英語ではceというパターンは頻度が高いはず)の運指には割り当てがない。教本的には「CE」は左中指での連続打鍵だが、自分は左人差し指、中指で打鍵し、これは速く打てる。

ただ、1文字の運指だけで評価するのは短絡的だし、 ゆっくりでしかタイプできない習熟度で配列の良し悪しを判断すべきではないだろう。 ではどれくらいの習熟度で判断すべきなのだろうか?

かな配列をいじりたくなって来たけど、それは終わりのない、いばらの道な気がする...。

この記事は自作したオリジナルキーボードSLNT67、pbkb48で書きました。

月見草エキス配列をしばらく使ってみて(練習開始から2ヶ月後)

自作キーボードをはじめてから、かな入力はずっと気になっていました。導入するのは大変かなと思ってずっと躊躇していましたが、このたびチャレンジしてみることにしました。現在「月見草エキス」という配列を練習しています。練習をはじめて2ヶ月が経ち、気づくことがありました。

月見草エキス配列を練習開始

日本語のタイピングを気持ちよくできるようにしたいと考え、かな入力を練習し始めた。 挑戦しているのは月見草エキス配列。 月配列系の派生で、役割の違う後置シフトが5キーある(もともとの月配列では同じ役割の後置シフトキーが2キー)。 つまり単押し、5つの後置シフトキーとの組み合わせにより、1つのキーに対して6文字(パターン)を割り当てることができる。

だいたい30キーx6パターン=180の割り当てが可能という単純計算になるが、実際はそんなに覚える必要はない。 「あ」、「か」などの清音の約50文字に加え、「が」などの濁音、「ぱ」などの半濁音、「きゃ」などの拗音、促音(「っ」)の割り当てを覚えることになる。 以下は配列を示す図。 少し大きめに書いているのが単押し、残りは青字で示した後置シフトを組み合わせた場合の割り当て。

月見草エキス配列。大き目の文字で示しているのが単押しの割り当て。青字で示している後置シフトの割り当ては小さめの文字で示してある。

「きゃ」「きゅ」「きょ」などの拗音は規則性があり、「き」のキー割り当てを覚えればシフトキーとの組み合わせはすぐにわかる。一方、「か」と「が」は違うキーに割り当てられているように、清音、濁音、半濁音は独立に割り当てられている。このため、学習コストはかな配列の中でも高めで、だいたい70〜80程度の割り当てを覚えればいい(ちゃんと数えていない...)。

この配列での入力練習を2026年2月11日から始めた。 基本的には1日5分〜10分程度をほぼ毎日。 ただし気が向いたり楽しくなっていたらもっと練習している。 一部の期間は練習できていないときもある。 以下はどれくらいのペースで習得していったかの記録。

3週間後

全然キー割り当てを覚えられない。 2月後半は体調を崩したこともあり、練習した時期は実質2週間弱程度かもしれない。 この段階で覚えられたキー割り当てはだいたい1/3程度。 単押しの割り当ての大体を覚えたが、右小指の割り当ては覚えられていない。

6週間後

だいぶキー割り当てを覚えられた。 単押しの割り当てはマスターした。 これに加え、頻度の高い後置シフトキーとの組み合わせで入力するキー割り当ても7、8割覚えた。

e-typingの長文、やさしめの課題文(日本の昔話)は時間がかかりすぎて途中でやめていたが、これを10分以内で打ち切れるようになる。 誤打鍵が多いしまだまだ遅いが、「しょう」などのあるパターンは気持ちよく入力できるのを実感できる。 この時期から苦行感からは徐々に解放され、タイピングの練習が面白いと感じ始める。

頻度の低い後置シフトキーとの組み合わせで入力する文字は、配列表を見ないと入力できない。 意識的に練習していると1日1個のキー割り当てを覚えているくらいか。 ただし頻度が低いと忘れやすくなるので、覚えたと思っても1週間後には割り当てがすぐに思い出せない場合もある。

7週間後

e-typingのやさしめの長文をスコアDでタイプできるようになる(最低スコアはE)。 100WPM前後の速度だが、ミスの回数が多く、正答率は高くても80%台。 同じ文章を練習しているために速く打てるようになっている面もあるが、あるパターンの文字列はスムーズに入力できるようになっていると実感する。

ただしやはり頻度の低い後置シフトキーとの組み合わせで入力する文字は覚えが遅い。 覚えられない文字の割り当てを意識的に練習する必要を感じる。 ChatGPTに割り当てを覚えられていない文字を含む単語を複数あげてもらい、それを漢字ドリルのように練習し始める。 これによって濁音のキー割り当てを徐々に習得しているが、一方で半濁音はまだ全く覚えられていない(5キーしかないのに)。

8週間後

頻度の低い文字の割り当てをようやく大体覚えた。 基本キー割り当て表を見なくてもゆっくりであればタイピングできる。 「ヴ」のようなものはまだ覚えられていないが実用できる段階になったと言える。

e-typingでのスコアがEよりもDのほうが多いくらいになる。 WPMの値は7週間後とそれほど大差ないが、ミスの回数が減ってきて調子がいいと90%台。 月見草エキス配列では「っ」は単押しの割り当てとなっているので、キーボードからは「xtu」を出力するようにしているが、e-typingのローマ字入力はこれを良としないので必ずミス判定になってしまう。 ミスが減ってきているのでこれが鬱陶しく感じてくるようになる。

2ヶ月後

半濁音がまだ怪しいけど、大体割り当てを覚えた。 e-typingのスコアはあまり伸びてないが、調子が良いとスコアCが出るくらい。

2ヶ月練習してみて感じたこと

月見草エキス配列は難易度が高いが、2ヶ月くらい練習するとゆっくりではあるがタイピングできるようになった。 清音と濁音・半濁音がうまく関連付けられているかな配列ならもっと早く、おそらく1ヶ月くらい(?)あれば同じレベルに達する気がする。 人によってはもっと早いかもしれない。

習得キー割り当て数を縦軸に、時間を横軸に取ってグラフを作ったら、直線的に増えるわけではないと思う。キー割り当てをたくさん覚えられる時期と、なかなか覚えが悪い時期があり、緩急がある。

頻度の低い文字以外を覚えられると、拙くても使える気になってくる。 これは新たに外国語やプログラミング言語を学ぶのに近い感覚がある。 興味を持てるか、また学習の初期の段階を忍耐強く続けられるかどうかがポイントだろう。 英語が重要だと思われている一方で実用的なレベルに達している人は多くない。このことを考えると、キーボードのキー割り当てを変更する人が少数なのは自然なのかもしれない。

予想外の気づき

はじめてみて気づいたのは、短期間で自分の成長を実感できること。 これは予想外の発見だった。 もともとのかな配列に対する興味、QWERTY配列に対する不満、合理性の観点から始めたが、自分の成長を楽しむため、というのもありだなぁという気づきがあった。

QWERTY配列ではないキー配列による入力方法の習得は、語学学習に比べればよっぽど手軽だ。 千野栄一「外国語上達法」によれば、『大体どの言語のテキストでも、テキストの九〇パーセントは三千の語を使用することでできている。すなわち、三千語覚えれば、テキストの九〇パーセントは理解できることになる。』と書かれている。 これに対し、キーボードの入力では覚える割り当ては100もない。 年齢が高くなるにつれて自分の成長を実感する機会は減っていく。 若い人だけでなくベテランな年齢の人もQWERTYでない配列にトライしてみるといいかもしれない。

この記事は自作したオリジナルキーボードpbkb48で書きました。

キーボード設計ための寸法メモ

キーボードを設計するときに寸法をどうするか、まとめを作っていなかったので調べるのがいつも面倒でした。そのため寸法を気分で決めていることもありました。 以下は気分に流されないようにするための寸法メモ。 (参考にする場合は自己責任でお願いします。)

寸法まとめ

寸法まとめ

要確認

  • 0.1mm~0.2mmくらいはズレがあるかもしれない。
  • PCB底面とケース底板の間隔がこれで十分かは要確認。ガスケットマウントのガスケットの沈み具合、PCBのしなりなどで打鍵時に当たるかもしれない。もう少し間隔をあけておくと安全。
  • キーキャップ角のRがどれくらいかは不明。図は適当。

備考

  • キーキャップのモデルにしているのはKAT operator、A列。ノギスで測定。別のRowはキーキャップ天面の高さが異なる。
  • キーキャップの幅が18.2mmなので、19.05mmピッチの場合、キーキャップ同士の間隔は0.85mm。同じような隙間をキーキャップとケースの間に設けるのが見た目上は良いはず。
  • 19.05mmの格子からキーキャップの端までは0.425mm。
  • ケースの角のRはキーキャップのR+0.85でRをつければいい気がする。



この記事は自作したオリジナルキーボードSLNT67で書きました。

かな配列のキーボードに挑戦してみることにした

qwerty配列キーボードで日本語ローマ字入力にイライラすることが最近特に多いので、ずっと気になっていたかな入力に挑戦してみることにしました。今回の記事ではどのかな配列を導入するか、あれこれ考えたことを書きます。

日本語を気持ちよくタイプしたい

最近キーボードでの日本語の入力に対して不満が溜まってきている。 例えば「よろしくお願いいたします。」でタイプミスが頻発する。 よく入力する定型文なので頭を使う必要はない。 これはもう指を動かすだけの作業。 ただの作業に時間をかけたくないという意識が働くのでできるだけ速くタイプしようと指を動かすが、指が絡まる感じがあり、最近特にミスタイプが目立つようになった。 これは「よろしくお願いいたします。」だけではなく、自分の名前をタイプする場合でも起こる。 意識に指がついてこない感覚があり、フラストレーションが溜まってきた。

使用しているのはロースタッガードqwerty配列のキーボードで、ローマ字入力で日本語をタイプしている。 一方で英語やプログラミング言語を入力しているときには上のような不満を強く感じることはない。 日本語ほど無意識で素早く作文できないこともあるが、 「point」などのジャラッと素早く入力できる文字列のパターンが結構あり、これには気持ち良ささえ感じる。 このジャラッと気持ちよく打てる感覚は日本語ローマ字入力で感じたことはない。 でもそれなりのスピードで日本語を入力することはできるので満足できるものではないが、不便を感じたことはなかった。

日本語ローマ字入力qwerty配列の相性が悪いのでは?

世間ではqwerty配列は酷評されがちである。 しかし自分は不便を感じたことがなかったので、そこまで憎む程?と、いつも思っていた。 またqwerty配列の批判に使われる言葉はだいたい強いので、 大げさに物事を言うYouTuberみたいな印象を持ってなんとなく遠ざけていた。

qwerty配列を酷評する人と自分の感じ方の違いには、以下のポイントが関わっていると思う。

  • qwerty配列に慣れることができたかどうか?
  • 大量に日本語だけを入力しているかどうか?

大量に日本語を入力する場合、qwerty配列に不満を感じるのはとても共感できる。 一方、プログラミングや英語の入力が主となっている人は、それほど強い不満を感じないのかもしれない。 おそらく日本語ローマ字入力qwerty配列の相性が悪いのだろう。

相性の悪さはタイピングのリズムが心地よくならないことに現れていると思う。 長年日本語ローマ字入力をしてきたが、qwerty配列ではリズムが悪い、指が絡まる感じが多い。

かな配列にチャレンジ!

日本語が第一言語なのにそのタイピングが気持ち良くないのはよろしくない。 そんな不満を解消するため、ずっと気になっていたかな配列による入力にチャレンジしてみることにした。

かな配列を既存のキーボードに囚われずに考えてみる

既存のキーボードはそもそも英字を打てるように設計されている。 そのためアルファベットの26文字に数字と記号が入力できるキー数になっている。 これに対してかなは濁音、半濁音、拗音、促音を除いても46字あるのでキー数が足りない。 その点ローマ字入力というのは、英字用にデザインされた既存のキーボードと日本語の間をうまくつなぐ一つの処方箋だと言える。 また市販されている日本語キーボードでのかな入力は、シフトを使って1キーに2つの文字を割り当てることでキー数の不足を補っている。

今やキーボードを自作できる時代なので、英字入力用のキーボードに囚われずにもっと自由に考えてもいいはず。 どのようなキーボードがあり得るだろうか?

1キーに1かなを割り当てることを考えると、50キーくらいが必要になる。 さらに発散的に考えると、濁音や拗音なども独立したキーにする選択肢もある。 ただしそこまで行くと非常に沢山のキーが必要になり、それをタッチタイピングするのは難しそう。

50キー位を独立なキーに割り当てるのはあり得る選択肢かもしれない。 人間の指は左右で10本なので、親指をかな入力に参加させれば一つの指に5キーを割り当てればいい。 ただし親指で5キーを打ち分けるのはちょっと想像ができない...(既存のキーボードの形に囚われすぎているかもしれない)。 親指を除く4本の指にキーボードの4列を割り当て、更にその外側の左右2列(人差し指、小指には一列外側も担当させる)を加えれば、6列 x 2(左右)x 4行で48文字をカバーできる。 これならあり得るかもしれない。 この場合、既存のキーボードでいうところの数字列もかな入力に使用することになる。 自分は数字列は完全にブラインドタッチできないけれど、それはキーピッチが19mmなせいかもしれない。 キーピッチが狭くて指が届きやすければこのような配列もありなのかも。

足りていないキー数でかな配列を実現する方法

自分が知る範囲では上のようなものはなく、かな配列は既存の英字用キーボードか、あるいは指の可動範囲を意識したキー数が少なめの自作キーボードに実装されている。 キー数が足りないのでシフト(レイヤー)を利用して割り当てることになる。 おおよそ次のような方法に分類できるだろう。

  • モディファイアキー(シフトキー)を組み合わせることで、1つのキーに2つの文字を割り当てる (複数のレイヤーに割り当てを行う)
  • モディファイアキーではない、かなに割り当てているキーの2つ同時押し
  • モディファイアキーではない、かなに割り当てているキーの2つ連続打鍵

もちろん他の方法もあるだろうが、自分が使うものはこの辺りが候補となる。

どのかな配列を使ってみようか?

条件

英語(ときにはプログラミング)をスムーズに入力するために、これまで使い込んできたロースタッガードqwerty配列は併用できるすることを前提とする。 かな入力はレイヤーを切り替えて使うこととする。

かな配列を調べてみる

これまでかな配列について深く考えたことはなく、どんな配列がいいのか全くわからなかった。 そこでどんなかな配列があるのか、この動画を見てみた。 www.youtube.com

かな配列部門で整理してあるのでとても助かる。 これを眺めていると、かな配列はずんずん入力が進む印象がある。 ただ、動画を上げている人の多くは調子よく入力できた場合を示しているだろうから、 少し割り引いて見る必要があるかもしれない。 でも訓練すればこれくらい速く入力できる例ではあるはずだ。 以下に特に気になった配列について考えてみる。

薙刀

動画中で解説をしている大岡さんが開発している薙刀式配列は、彼のブログにあるような大量の考察の上に開発されたもの。 長い文章をタイプするマラソンのような場合でも楽という謳い文句と、上の動画が示すようにタイピングテストのような短距離走も十分速いので魅力的。 ただ、自分はロースタッガードqwerty配列は維持したい。これとの両立を考えたときに以下が懸念となり、候補から除いた。

  • 親指やスペース、BSが標準のキーボードとは異なる。使い方を日本語・英語入力ごとに使い分ける必要がある。
  • 作者は格子配列で運用している。自分は教本的な指使いをしないために、格子配列のqwerty割り当てで一部のキーに混乱が起こった経験がある。
  • シフトを押しながら文字キーの入力は素早くタイプするという観点では気持ちよくならない気がしている。

特に気になっているのは3点目。素早く入力できるようになりたいという欲求があるが、同時に気持ちいいリズムで入力したい。 2キーの同時押しがあると、素早く入力する場合は打鍵リズムが崩れる感覚がある。

月見草エキス

シフトキーとの同時押し(2キー同時押し)ではなく、シフトキーを打鍵した後の次の打鍵にシフトがかかるものは月配列系というらしい。 この方式がより気持ちいいリズムでのタイピングを可能にすると思う。

月配列系の中でも特に存在感を放っていたのは、ATCタイピングテスト2025の課題文章を制限時間内に打ち切っていた月見草エキス。 上の動画の中でも最も入力が速かった。 入力の様子を眺めていると、1キーで確定する場合と2キーで確定する場合があり、入力途中は不思議な感じがする。

もともとの月配列のシフトキーはD、Kの2キーに同じ役割のシフトが割り当てられるものらしい。 これに対し、月見草エキスでは異なる動作をするシフトキーが5つもある。 また、配列に規則性を見つけることはなかなか難しい。 かなり難易度高そうだけれど、qwerty配列も規則性ないので慣れの問題のはず。 これを習得できれば自分の抱いている不満は完全に解消されるのでは、という期待がある。

結論

そんなわけで月見草エキス配列にチャレンジしてみることにした。 かな配列はキー入力を変換するソフトを入れて運用する例が多いようだけれど、そうすると使用するPC全てにそれを設定しないといけない。 それはやってられんので、QMK firmwareでキーボード自体に配列を実装することにする。 問題は自分が挫折せずに訓練を続けられるかどうか...。 ある程度訓練が続けられたら、使用感など何かしら関連記事を書くかもしれません。

この記事は自作したオリジナルキーボードpbkb48、SLNT67で書きました。

ベッド用ライトを自作した

最近ベッドそばに置いているライトに不満が出てきました。 買い替えようと思っても市販品でしっくりくるものがなかったので自作することに。今回の記事はそのライト自作について。

布団に入ったまま読書したい

冬に布団に入ったときに、足が冷えているせいでなかなか眠れないことがあります。 そんなときは足が温まるまで布団に入ったまま本を読みます。 そうすると気づいたときには眠っています。 布団に入ったままで読書すると眠りにつくまで足の冷えをあまり意識しないで済むし、しばらく眠れなくても本を読んでいるので時間を無駄にした気はしません。 このとき重要になるのが照明です。

照明つきっぱなしで寝ると、明るさで変な時間に目が覚めてしまいます。 睡眠の質が日中のパフォーマンスを左右すると思っているのでこれはいけません。 自分が眠りについた頃には自動的に照明は切れてほしい...。

これまでの寝落ち用ライト

これまでは眠ったあとで自動的にOFFにするために以下のような組み合わせを用いていました。

  • タッチスイッチでON・OFFする照明(下図)。ライト部分はフレキシブルアームで角度などを調整できる。
  • 自動タイマー(リーベックス(Revex) コンセントタイマー スイッチ式 簡単デジタルタイマー PT70DW)

これまで使っていた照明

この自動タイマーはかなり優秀で、単にON/OFFする時間をプログラムできるだけでなく、それを曜日ごとに変えたり複数の設定が可能です。 例えばAM2時にOFF、その5秒後にONと設定します。 上のライトはタッチスイッチなので、一度電力供給がOFFになった後にONになっても照明はOFFのままです。 この設定を例えばAM1時、2時、3時などに設定しておくと、AM1時に一度OFFになってもまたすぐにONにでき、 3時まで起きることがなければ朝までには必ずライトがOFFになります。 これは非常に使い勝手が良くて、長年この組み合わせで運用していました。

引っ越したらライトに不満がでてきた

これまではベッドで横になったときに頭の上の位置にライトを置いていました。 この位置は仰向けに寝ると光が眩しいですが、横を向いて本を読むときには全く問題ありません。

ところが最近引っ越した現在の住まいでは、ベッドルームの制約で同じ位置に照明を置くスペースがありません。 とりあえず同じ照明を左手側、頭の横のベッドサイドテーブルに置いて使っていました。 ベッドに横になってライトと反対側を向いて本を読む場合はフレキシブルアームの部分を調整すれば問題ありません。 しかしライト側を向くととても眩しい! さらにその向きで本を読もうとすると、アームをどう調整しても影になってしまうので読みづらい。 このために横になって本を読む回数が激減しました。 何とかしてこれを解消したい。

世の中に自分の求めるものはない問題

ようするにベッドに寝たときに頭上の位置に照明を配置できればいいわけです。 でもベッド頭上側にはすぐに壁があるので照明は狭いスペースに設置できないといけません。

そうした条件に合致する市販のものをまずは探してみます。 例えばクランプからフレキシブルアームが伸びてその先に照明がついている照明があります。ただ、使用する場面を想像してみると、

  • クランプする部分がやや大きい
  • クランプから伸びるフレキシブルアームの出ている方向が頭上から体の方向に伸びるので、起き上がるときに頭をぶつけそう

などの不満があります。おそらくこの手の照明は机の端にクランプで固定することが想定されていて、私の用途には馴染まなさそうです。 しばらく他の市販品も探しましたが、やはり自分が本当に求めるものは世の中にはない...。

世の中になければ自分で作るしかありません。 というわけで自作することにしました。

求める照明の条件

どうせ自分で作るなら、求めている機能は何かを考えてみます。 まとめると以下のようになります。

  • ベッドの頭上にできるだけ省スペースで設置、あまり頭の上に出っ張りができないようにする
  • ライトONしてから1時間たったら自動的にOFF
  • ベッドの左・右、どちらを向いてもいいようにする(=ベッド左右方向に対照)
  • 眩しくないように和紙などで光をやわらかくする
  • LEDを使用して省電力化
  • LED照明にありがちなポチポチした感じの光源ではなく、ぼやっと一様に光るようにする
  • 待機電力を最小化

自動OFFは時刻で設定するよりも、ONにしてから一定時間でOFFのほうが生活リズムが崩れているときでも使えます。また省電力の観点からLEDにしたいのですが、LEDライトでありがちな光源のつぶつぶ感は好きではないのでそれが見えないようにしたい。理想は一様な光です。 さらに直接照明を見ても眩しくないようにしたい。

これを全部盛りのライトを作ることにします。

パーツの選定

さて、今まで照明なんて作ったことがないのでChatGPTに壁打ちしながら考えます。それを経て主要なパーツは以下のものを用いることにしました。

LEDテープ

世の中にはLEDテープという物があるので、省電力で広い面積を明るくできます。 シングルベッドなので1mの長さで十分なはず。 光の色温度は3000Kの電球色で暖色系、560lm/mの明るさ、12Vで消費電力7W/mの5mm幅ものにしました。 これは光のディフーザー付きなので光源のポチポチ感が薄れるはず。

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自動電源OFFの仕掛け

1時間後にOFFは安価でコンパクトなArduino Nano(の互換品)を使用して行うことにしました。

DC-DCコンバーター

LEDは上に挙げたもののように12Vのものがほとんどのようです。 これにはACアダプタで12VのDCを作って給電します。 一方Arduinoは5Vで動きます。 5Vと12Vの両方の電源を引くのは嫌なので、DC-DCコンバーターで12Vから5Vに降圧します。 LM2596のモジュール化されたものをAliExpressで調達しました。

MOSFET

Arduinoにずっと給電しておくのは無駄に電力を使用するし、寿命も縮めそうな気がします。 スイッチOFFになったらDC-DCコンバーターへの給電もOFFにしてArduinoへの給電を切ってしまえばいいはず。 そのためにMOSFETを使うことにします。

スイッチ

ライトのON・OFFのための機械的なスイッチです。 実はこれが一番悩んだ部分です。 選定したものは1つのスイッチで 2回路を同時にON・OFFできるものです。これを選んだ理由は後述します。

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ヒューズ

自分をあまり信用していないので、念のためヒューズを入れておくことにします。 どこかがショートしていてもここで遮断してくれます(実際テスト中に2回ヒューズを飛ばしました...)。 ヒューズは交換できるようにしておくためにソケットを用いることにします。

回路図

ChatGPTに壁打ちしながら回路図を作成し、出来上がったものが以下のものになります。 初めてMOSFETを使ったので自信がなかったし、各抵抗の値をどうするかも戸惑ったので、LTSpiceを使用してシミュレーションしました。 下の回路図はLTSpiceを使って作成しているので、Arduinoのピンをスイッチにしたり(図のs2, s3)、LEDライトを抵抗(R99)に置きかえていたりします。 また一部の素子の型番は適当です。

回路図とLTSpiceのシミュレーション結果

動作シーケンス

動作は以下のようなシーケンスになります。

  • ライトOFFの状態ではP-MOSFETのゲートは12VでOFFになり、LED、Arduinoには給電されない
  • スイッチをONにするとP-MOSFETのゲートが0VでON、給電開始でLEDライトがONと同時にArduinoがON
  • ArduinoがONになると、PWR Hold(実際にはD2ピン)によりN-MOSFETのゲートを5VにしてON、P-MOSFETのゲートが0Vになり給電・ライトONが維持される
  • 1時間経ったらArduinoのPWR HoldをLowにしてN-MOSFETがOFF、P-MOSFETがOFFで給電が止まり、ライトOFF、ArduinoもOFF
  • ライトONの状態でスイッチを押すと、ArduinoのRead pin(D3ピン)でLowを検知してPWR HoldをLowにして給電・ライトをOFFにする

12Vと5Vをハンドルするスイッチ

結構悩んだのはスイッチです。 電源ONにする場合、12Vの電源ラインにつながっているスイッチでP-MOSFETのゲートをGNDに落とします。 一方ライトONの状態からOFFにしたい場合、スイッチでArduinoピンのhigh/lowの状態を変化させます。 Arduinoのhighは5Vで、12Vにつなぐとたぶん壊れます。 なので12Vの電源ラインにつながっているスイッチと共通にできません。 簡単にはON用のスイッチ、OFF用のスイッチの2つをつければいいですが、1つのスイッチでON・OFFするのがUIとしてあるべき姿。 では12V系と5V系の2つのON・OFFを1つのスイッチでどう行うか?

ChatGPTに聞いてみると、抵抗分圧やフォトカプラを提案されますが、前者はミスりそうだし、フォトカプラは経年劣化があるのでイマイチです。 結局1スイッチで2回路のON・OFFをするスイッチを使うことにしました。 スイッチはちょっと値段高めですが回路がシンプルになります。

だいたい良さそうな構成になったらブレッドボードで動作を確認します。 一応Arudinoの1時間がどれくらい正確なのか測ったところ、ずれは1秒あるかいないかという程度でした。 問題なかったのでユニバーサル基板に実装します。 間違えそうなのでまずは基板上の配置図を描いてそれを見ながらはんだ付けしました。

ユニバーサル基板のレイアウト

固定部分の設計

後はどうやってベッドに固定するか、です。 全体図は以下のようになっています。 ライト部分はベッドの頭側の板の上部に固定します(下図)。

ベッドへの固定方法

ライト部分は、放熱とある程度の剛性、光の反射のためにアルミアングルにLEDテープを貼り付け、そこに和紙を貼り付け、和紙・アルミアングルでパイプ状にします(下図)。 放熱のため、2つのアングルをスペーサーを介して固定し、背面側には隙間をあけておきます。 両端には3Dプリント製のエンドキャップをつけて両端から光が漏れないようにします。

ライト部分、柱部分の断面図。下側のアルミアングルにLEDテープを貼り付けます。

このライト部分をベッドに固定するため、9mm角のアルミ角パイプの柱を立て、それを3Dプリントの部品を使ってベッドに固定します。 ON/OFFスイッチを含む回路は回路ボックスに収め、アルミ角パイプの柱に固定します。 回路ボックスの背面側には念のため排熱用の穴をあけておきます。

3Dプリント部品はJLCに発注。できるだけ安価に作成しつつ、LEDや回路が多少熱を発しても大丈夫なようにSLSナイロンを選定しました。SLSはSelective Laser Sinteringの略で粉末材料をレーザーで焼結して積層していく方法らしい。 耐熱147度なので余裕なはず。

組み立て

回路は3Dプリントで作った箱の中に収めます(下図)。

回路ボックス

今回初めてSLSナイロンを使ってみましたが、表面は梨地状になっていて積層が目立たないので自作キーボードのケースに使用するのも良さそうです。

M3ねじ止めのために開けたΦ3.2mmのキリ穴は、そのままだとM3のネジがギリギリ通らなかったので、電動ドリルΦ3.2mmビットで広げました。SLSはちょっと精度が出ないのかもしれない。 またアルミ角パイプと3Dプリント部品とのはめ合いがだいぶきつい…。測ってみるとアルミ角パイプは1辺9.2mmでした。 これは実測するべきでしたが、まあでもきつくても入ったのでOK!

完成!

最終的に組み上がったのがこちら。

ベッドに設置した、の図

かなり省スペース

狙った通りの、ぼやっと一様に光る優しい光が実現できました。本を読むのにも明るさは十分ですが、直接見ても眩しくは感じません。光の具合は完璧!

頭上にものを配置すると寝たときに圧迫感がないか心配でしたが、なるべく物質量の少ないデザインにしたので圧迫感はありません。 またベッドの板から壁側に7mm程度しか出っ張らないので、ベッドを壁にほとんどピッタリつけた状態でライトを設置できました。

あとがき

初めて照明を自作しましたが、思っていたよりいい感じに作ることができました。 反省点は和紙を筒状にしている部分です。 形を維持する骨組みがないので簡単に手で潰せてしまいます。でもまあ壁際に設置しているので大丈夫でしょう。 また、くるっと巻いた和紙はきれいには丸めることができなくて若干シワがあります。 そのために日中だと見た目の完成度がちょっと低い印象です。 ただ暗い部屋でライトをつけた状態であれば全くわからないのでまあいいでしょう。

あとは回路ボックスが大きくて野暮ったいのがマイナスポイント。 基板を起こすともっとコンパクトにできるはずですが、 面倒だしまあいいかなと思っています。

ぼやっと一様に光る感じは狙い通りでとっても満足しています。 光を障子紙に通したことによって直接ライトを見てもまぶしさはなく、LEDライトの光源のポチポチ感もありません。 明るさも本を読むのに十分です。 上に挙げた要件をすべて満たすものを作れたので、めでたしめでたし。

この記事は自作したオリジナルキーボードSLNT67、pbkb48で書きました。

ロープロファイルスイッチを使った自作キーボードSLNT67の製作(2)

Lofree Specterスイッチを使って新たにキーボードを自作することにしました。 前回のブログ記事ではキー配列と基板の設計について書いています。 今回の記事ではケース設計とマウント方法について。

kgnwsknt-chef.hatenablog.com

どんなキーボードケースにしようか?

これまで自作したキーボードと似たものを作るだけでは面白くありません。わたしはキーボードを自作するときに何か必ず自分にとって新しい要素を入れたいと考えます。 できればなるべく他の人がやっていないようなことをやってみたい。 さてどうしたものか。

ガスケットマウントという言葉の違和感

キーボードにはガスケットマウントというものがあります。スイッチプレートにタブを付け、そこにフォームやゴムをつけて打鍵時の衝撃を和らげるものです。自作・カスタムキーボードのマウント方式として最近ではポピュラーなものの一つになっています。

一方で、自分はこのネーミングにずっと違和感を抱いています。ガスケットは気密性を保つためのシール材のことを指すものだと思っているからです。実際に気密性を保つような構造のガスケットマウントはないと思います。O-ringマウントはキーボード部分(スイッチプレート、PCB)の外周をぐるっと1周するので、こちらの方が本来の意味でのガスケットに近い気がします。

こうした違和感をずっと抱いていましたが、久々キーボードを自作しようと考えたときにあるアイデアが浮かびます。シリコーンシーラントを使うと真の(?)ガスケットマウントができるのでは?

真の(?)ガスケットマウント

シリコーンシーラントでスイッチのついたPCBとケースの隙間を埋めるというのがアイデアです。 真のガスケットマウント、と言っているのは密封性が(相対的に)高いということです。ガスケットマウントはプレートやPCBの外周の一部にタブをつけて、そこにシリコーンゴムやフォームをつけてケースに固定するものがほとんどです。これが外周の一部だけなのでガスケットという言葉に違和感があるわけですが、PCBの外周すべてをシリコーンシーラントを使ってケースと密着させたらガスケットっぽいじゃん、と思うわけです。

実際に気密性があるわけではありませんが、ケース内の隙間を最小化すると打鍵音に影響がありそうです。以前パテをケース内に詰めると打鍵音が大きく変化する、というのを目にしたことがありましたが、これと似たような効果が得られるかもしれない。パテに比べてシリコーンシーラントを使うメリットは、硬化(といっても弾力性があります)して形状が維持される点でしょうか。

ということで、シリコーンシーラントを使用してキーボードを作ることにしました。キーボードの名前SLNTはSealantの母音の除いた文字列になっています。単語から母音を除くだけでそれっぽくなりますね。

ケースの設計

方針が決まったらケースを3D CADで設計します。今回のキー配列の外形はきれいに四角になっていないので、ケース上面はその外形に沿った穴が開いている形状にしたくなります。それに対応できるようにアクリル箱組みでケースを作ることにして、上面の板はレーザーカットで作ることにします。

ケース上面

ロープロファイルスイッチの特徴を活かすためにケースはできるだけ背が低くなるようにします。ただし、持ち運び用というわけではないので、薄さよりは打鍵感を重要視することにします。

スイッチプレートはなしで、スイッチはPCBにはんだ付けします。ロープロファイルスイッチはキーキャップを選びますが、スイッチプレートがない方が幅が広がるだろうと思ったからです。

ケースは基本3mm厚のアクリルで箱組みします。 以前2mm厚の板を使ったときには明らかに薄くて音が抜けてくる感じがあリました。5mm厚のアクリルを使うとかなりしっかり接着できるので安心感がありますが、一方でできるだけ薄くしたい。ということで3mm。こうするとUSBレセプタクルの先端がケース表面から1.5mm引っ込むのですが、これは全く問題ありませんでした。

ケース断面図

ケース断面(USBレセプタクル部)

接着強度のために側面の左右の板は5mmにしようかとはじめ思ったのですが、すべて3mm厚に揃えるとアクリルレーザーカットで一緒に作れてコストが抑えられるので3mmにします。

底面の板は、打鍵音の観点から剛性が高いほうがいいかなと思い、5mm厚の透明アクリルにします。レーザーカットとは別購入になりますが、穴加工は自分でやるので板を買うだけになり、それほど高くはなりません。また透明にするとケース内の様子を見られるので、フォームを詰めるなどの調整がやりやすくなります。

底板の手前側にはウレタンクッション、奥側にはチルトを少しつけるために市販されているアルミ足、またはアクリルで作った足をつけることにします。

ケースの高さは手前側で17~18mm。使用してみてわかりましたが、この高さならパームレスト無しでも全く違和感なく使用できます。まあでもパームレストがあったほうが自分は打ちやすくて、FILCOリストレストMacaronの高さとケース上面の高さが一致していい感じです。

ケース上面の板とキーキャップの隙間は0.25mmにし、角のRは1.5mmとしました。後でこれは失敗であることがわかりました。キーキャップの角は結構とんがっているのでこのクリアランスでは角が当たります。またケースとスイッチがついているPCBの位置合わせが非常にシビアになります。いつもこのクリアランスは気分で決めているところがあるので、こういうところを丁寧にやらないといけませんね。

PCB上面側とケース上面板の間はシリコーンシーラントで埋めることにします。シーラントが付く部分としてPCB外周には5mmののりしろを設けてあります。PCB底面〜ケース底板の間はこの時点で真面目に考えていませんでしたが、シリコーンシーラントを外周につけるか、あるいはフォームを貼り付けることにします。

自家製のUSBドーターボードはタップ穴を開けたアクリルの板に固定します。それをケース上面板の底面側に接着します。

アクリル箱組みケースでいつも悩むのは、どのようにネジ止めするかです。 ケース上面にネジの頭があることを許容すれば何も難しさはありません。 しかし私はネジの頭は上面からは見えないようにすると決めています。またメンテナンスができるようにケースの底板は外せるようにしたい。そのためのネジ止めをどう実現するか、いつも悩みのタネになります。

あれこれ考えて、ナットを埋め込めるパーツを3Dプリンタで作ることにしました。 アクリルや3Dプリントなどで箱を作るときに、アクリル自体にタップ穴加工したり、あるいはタッピングネジで止める方法もありますが、何度もつけ外しする場合は強度が不安です。 ナットを埋め込む方法は昔あれこれ考えてひねり出したアイデアですが、今ではアクリルや3Dプリントで箱を作るときの自分の常套手段になっています。 ナット埋め込みする3Dプリント部品とアクリルケースを固定する必要がありますが、あれこれ考えて下図のような構造にしました。

ケース内部(底面)

ケース内部

これくらい小さいサイズならJLCの3Dプリントサービスを利用すると100均みたいな価格になります。 このナットホルダーはタップ穴加工した側面のアクリル板にネジ止めします。 アクリル板のタップの下穴はレーザーカットで開けておくことにします。そうすると穴位置が正確。タップの下穴は0.1mm狭めにしておくとちょうどいい感じ。またこのアクリル板は、箱組みする際の接着部分の補強にもなります。

シリコーンシーラントのテスト

ケース設計と並行して、シリコーンシーラントのテストをしました。 アクリルとの接着性が良いセメダインのシリコーンシーラント 8051Nを選定しました。 シリコーンシーラントはこれまで使用したことがなかったし、どれくらいの粘度で塗りやすさや扱いやすさはどうか全くわかりませんでした。 全ての部品を揃えていざやってみたら全然ダメ、というのは悲しい。 それほど高くもないので惜しまずテストします。

どうやってシリコーンシーラントを塗るか?

シリコーンシーラントは通常シーリングガンを使って塗りますが、これは大きくてゴツいのでキーボードケースの隙間にきれいに塗れる気がしません。 もう少し小さめの何かが必要です。 そこで100均で売っている以下のものを試しました。

  • 詰め替えチューブ
  • クリームしぼり袋

100均で調達したアイテム

まずはシーリングガンからこれらに移します。シリコーンシーラントのノズルの先端をカットして、開ける穴の大きさを変えることでしぼり出す量を調整できます。Φ1~1.5mmくらいにしてみましたが、シーリングガンで押し出すのがかなり大変でした。やはりシーリングガンで細かい作業はできないので扱いやすい別のものに移し替えるのは必須です。

詰め替えチューブの口の大きさはΦ2mmくらい、クリームしぼり袋はΦ2-3mmくらいになるように切断しました。これらを試したところ、クリームしぼり袋が作業性が良いことがわかりました。ただし、袋にするための接着シロは塗るときに邪魔になりました。先端部分だけあらかじめハサミでカットしておくのが良さそうです。ヘラなどで塗ったあとに整形することを考えていましたが、トルコヨーグルト並みに糸を引くので難しい。塗ったあと、押し付けて型取りする感じでやることにします。

テストすると、やはりいろんなことがわかります。収穫の一つは、シリコーンシーラントは密閉されているとぜんぜん硬化しない、ということです。クリームしぼり袋に残っていたシリコーンシーラントは1週間くらいたってもまだ柔らかいままでした。硬化させるためには密閉したり厚すぎるといけないようです。

ストレッチフィルムはマスキングに使えるか?

梱包などに使われるポリエチレン製のストレッチフィルムはエポキシ系接着剤がくっつかないので、エポキシ接着剤の作業をするときに保護シートとして作業マットに敷いたりします。これ、シリコーンシーラントもくっつかないのでは?と思って試してみました。予想通りシリコーンシーラントはくっつかないことがわかりました。

これがわかったのは収穫でした。当初はアクリルケースの隙間を全てシリコーンシーラントで埋めようと考えていました。ただ、テストしてみるとシリコーンシーラントは粘度が高くて均一に塗布するのが難しい。1発でうまく成功する気が全くしません。ストレッチフィルムにはくっつかないので、ケース内側にラッピングシートをかぶせ、その上からシリコーンシーラントを盛ることにしました。つまり剥離剤代わりに使うわけです。そうすれば失敗しても硬化後にケースから取り外すことができし、またシリコーンシーラントで作ったガスケットを組み立て後でも取り外しできるようになります。

シリコーンシーラントでスイッチの穴を塞ぐ

せっかくテストするので、別の遊びもしてみました。 Lofreeのロープロファイルスイッチには、LED用の穴が開いています。この穴を埋めれば打鍵音が好みになるのでは?と以前思ったことがありました。 そこで埋めてみました。

LED用の穴とスイッチ内部がつながっているので、スイッチ内部にシリコーンシーラントが入り込んでいかないようにテープを貼ってから埋めました。

結果、打鍵音が低音寄りになって自分の好みになりました。 ただしスイッチ単体なので本当に好みかどうかは基板に取り付けて試したくなります。 でもこれをキーボード1台分やるのは苦行…。もっと扱いやすい別の何か、それこそ先述のパテとかで埋める方がいいのかもしれません。

あとがき

今回の記事ではケースの設計とシリコーンシーラントのテストについて書きました。次の記事では組み立てについて書こうかなと思います。さて、はたして上手くいくのか...?

この記事は自作したオリジナルキーボードunity69、SLNT67で書きました。