分割型キーボードの自作に再びチャレンジ(4)

自分の悪い姿勢を矯正したいと考えて分割キーボードを製作しています。前回の記事では基板の設計やはんだづけについて書きました。 今回はケースの塗装について。

届いた3Dプリントケース

JLCに依頼して届いた3Dプリントケースがこれ。

届いた3Dプリントケース

ちなみに小さいパーツははんだの煙排気用のPCファンが倒れないようにするためのスタンド。ちゃんとファンと合体できたので良かった。これを使ってパテ埋めや塗装のテストをする。

はんだの煙排気用のPCファンのスタンド

穴がふさがっている

届いたケースをじっくり観察していると、ナットを入れ込む穴が一か所埋まっていることに気づく。

写真上側は穴がふさがっている。下側が正しい姿

何とかピンバイスで穴をホジホジしてナットが入るようになった。これでちゃんとTRRS基板を固定できる。

無事ナットが入って固定できるようになりました

塗装前にとりあえず組み立ててみる

ナット穴が埋まっている以外にも不具合が無いかどうか、塗装前に仮り組みして確認する。PCB、スイッチプレートに適当なスイッチをつけ、ケース内に入れて底板を取り付けてみる。底板はいい感じにはまった一方で、ウレタンクッションはケースに入れた溝と寸法が合わないことが発覚。どうも設計時にモデルにしたウレタンクッションはサイズが違うものだったらしい。 もう少し小さいサイズのウレタンクッションを発注。

組み立てテスト。ウレタンクッション接着面の溝掘りの寸法が小さかった(右図)。

コネクタはぴったり!

コネクタはぴったりでとても気持ちがいい。いくつか不具合はあったが、致命的なものはなかったのでヨシ!

コネクタ用のケースの穴寸法はバッチリ。

複数のへこみ

塗装前の3Dプリントケースは白いのでわかりづらいが、よく観察すると複数の小さなへこみがあることに気づく。

手前の面にへこみ

また手で触ると積層痕があることもわかる。これらは塗装すると結構目立つので塗装前にパテ埋め処理を施す。

パテ埋めと塗装のテスト

パテ埋めはこれまでやったことが無いから勝手がわからないし、塗装は一発勝負なのでいきなりケースにぶっつけ本番は怖い。 そこでパテ埋めのテスト&練習と塗装の色や質感の確認のために、 上のファンを立てる小さいパーツで試してみる。

パテ埋めのテスト

パテといっても色々な種類があるみたい。例えばこのサイトが参考になる。どれを使ったらいいかよくわからなかったので、ふじっこさんの創作を紹介しているdaihukuさんの動画で使われていたタミヤの2液性のポリエステルパテを使うことにした。

100均で見つけたへらで2液を手早く混ぜ、パーツの1面に薄く塗る。

パテ埋めのテスト

このパテは5-10分で硬化し始め、60分で硬化とある。やってみて実感したが、5-10分はかなり時間が短い。手早く作業する必要がある。そして臭う…。 作業したのが冬ということもあったので、念のため2時間経ったあとにやすりがけ。 この処理をした後で手で触ると積層痕は全然感じなくなる。 いい感じ。パテ埋めしていない面と比べると差は明らか(写真だとわかりづらいですが)。

(左)パテ埋めしてやすりがけしたもの、(右)何も処理をしないもの

塗装のテスト

塗装のテストも同じパーツで行う。前回塗装したときは暗めの深い青色に塗装したが、今回はもっと明るい色にすることにした。どんな色にするか迷ったが、この車のプラモの塗装に一目ぼれしてしまった。インターミディエイトブルーという色。ただし画像を見ても実際の色はわからないので実際に塗ってみて最終判断する。

本番さながらにまずはサーフェイサーを吹いて、やすりがけ、そしてカラー塗装、トップコートを行う。パテ埋めした面とパテ埋めもやすりがけもしない面に塗装して仕上がりを比べる。またトップコートもつや消しにするか、光沢にするか迷っていたのでこれも両方試して仕上がりを比べる。

サフ吹き後、やすりがけ後、カラー塗装後(テスト)

トップコート後、(左)パテ埋め処理したほう、上1/3はクリアつや消し、中1/3はクリア無、下1/3はクリア(光沢)、(右)パテ処理なしで塗装したもの
色は明るすぎず、暗すぎず、少し渋い感じ。スマホで写真撮ると暗めに写りがちなので写真映えはしないけど、この色のキーボードは見たことないし自分的にはいい感じ。トップコートを光沢にするとテッカテカになるのではないかと心配していたけれど、全くそんなことはなくて質感は問題ない。前作はつや消しを吹いたので、今作では光沢のトップコートにすることにした。

パテ埋めややすりがけをしない面はやはり積層痕がはっきりと見えてしまう。塗装するならパテ埋めややすりがけは必須だろう。 パテ埋め、やすりがけを1度やれば十分そうである。 見た目からは判断しづらいが指でなでた感触では積層痕はなくなっている。この上からサーフェイサーを吹けば十分フラットな平面になる。

以上のテストで色と仕上がりの質感を確認することができたし、練習もできたので次はいよいよケースの塗装。

パテ埋め本番

5-10分で硬化し始めるパテを一気にすべての面に塗ることはできないので、何回かに分けてパテを塗る。それでも広い面積にパテを薄く塗るのは大変で、片手の上面だけでもパテが固まり始めてきて薄く塗るのは難しい。結局結構な厚塗りになってしまった。チューブからパテを3cmくらい出した量で、上面1面塗るのには十分だった。

パテを塗った後

パテ塗りから半日後くらいにやすりがけして余分なパテを除くいて平面を出す。厚塗りしたせいで結構大変だった。

やすりがけしたあと

やすりがけが完了すると、パテの色が黄色いこともあってパテ埋めの威力がよくわかる。もともと平面が出ていない箇所が一部あった(右手側上面の上や右のベゼル)が、それが上手く埋められていたり、積層痕が埋められたり、小さなへこみが埋められているのがよくわかる(ただし下の写真を拡大しないとわからないかもしれない)。やすりがけで積層痕を消すことはできるけど、小さなへこみは対処できない。パテ埋めの工程はやや面倒だったけれど、やったのは正解だった。

パテをヤスリがけした後、へこみや積層痕が埋められている

パテ埋めは一度しかやらなかったが、上のふじっこさんの動画では3回くらいやるといっていた。 実際パテ埋め1回だと埋められていないへこみがあったりする(後述)。 パテ埋めできていないのを視認できればいいのだが、なかなか目で見てへこみを漏れなく見つけだすのは難しい。 写真取って拡大すれば見つけやすいけど、それでケース全体をチェックするのは大変。 何かうまい方法があるといいのだけれど…。

塗装

サフ吹き

パテ埋めが完了したら、次はサーフェイサー。 Thumbプレートの接着面をマスキングテープでマスクし、塗装しやすいようにダンボールや割りばしなどを使って簡易的な持ち手&台を作る。

1000番のグレーのサフを吹いた。2回に分けてスプレーした後、3000番のスポンジヤスリで磨く(優しくなでる程度)。 指で撫でたときの感触がスベスベになるようにする。

サフ吹きが完了

サフ吹きをすると、真っ白の時ではわからなかったパテで埋められていない小さなへこみを発見。 しかも上面でキーボード使用時に常に見える場所。これはけっこう精神的に辛いものがある…。

サフ吹きで埋まらないへこみ(写真を拡大するとわかります)があって精神的にへこむ

せっかくパテで穴を埋めているのだから、これを見過ごすわけには行かない。 埋めるためにサフの筆塗りを試みる。 紙コップにサフを吹いて、それを筆でとってから点を打つように塗ってへこみを埋める。

サフを筆塗りしてへこみを埋める

しばらくおいて固まった後にやすりがけ。 平らになったら再びサフ吹きをして表面を均一にする。 これでへこみを解消することができた!

筆振りしたところをヤスリがけ(左)して、再びサフ吹き(右)

サフ吹き、磨き作業が完了したら水洗いして粉を落とす。 よく乾燥させたら、いよいよカラー塗装へ。

カラー塗装

サフ吹きが完了したら次はカラー塗装。 まずは吹きづらい内側側面を狙ってスプレーを吹く。 完成後は基本的には見えないところだけれど、色がついていないときっと目立つ。 しっかり塗装できなくてもいいので色づく程度には吹く。

その後、外側の面をスプレーする。これを2回に分け、左右両方のケースを交互に塗装する。2回目の塗装が終わったところで観察すると、一部色の薄い箇所があったので3回目の塗装を行った。

カラー塗装

3回目の塗装が終わったところで左右のケースの色を比較する。 これがなかなかに難しい。光の当たり具合で色の見え方が変わるからだ。 いろんな方向から見ながら確認すると、左側が少し色が薄いので色を足した。 このおかげで最終的には左右の色の差異は(自分には)わからないくらいにできた。

トップコート

最後の仕上げのトップコート。 まずは内側側面の部分を筆塗りする。 カラー塗装と同じようにスプレーでやると、しっかり塗るのは難しい。 内側側面のすぐそばにはキーキャップの端が来るのでキーキャップがこの側面と接するかもしれない。トップコートの塗りが甘いと、その時にカラー塗装がキーキャップに移ってしまいそうな気がする。 かと言ってしっかり内側側面をスプレー塗装すると、上面のトップコートの厚さが変わって質感が一様にできない気がする。 なので筆で厚く塗る。 全体を塗る前に内側側面を先に塗るのは、もし筆塗りが上面にはみ出てしまっても、後からスプレー塗装をしたらごまかせそうな気がしたからだ。これは前作での反省から。

余っていたつや消しのトップコートを紙コップに吹いて、液を出し、それに薄め液を加えて粘度を下げる。こうすると筆で塗りやすくする。塗り終わったら外側をトップコート(光沢)でスプレーする。左2回、右1回吹いたところでスプレー缶が切れる。 追加補充をして、別の日に右をもう1回スプレーした。

自分の吹き方のせいか、ツヤツヤ・テカテカにはならず、細かい凹凸のあるサラッとしたテクスチャーになった。

トップコートを吹く

トップコートの作業で最も頭が痛かったのが細かいゴミ。自分の着ていた服が悪いのか、服の繊維みたいのが嫌がらせのように何度も塗装面に乗ってくる。おかげで一部そのあとがついてしまった。 塗装時はホコリの立ちづらい服を着るほうが良いだろう。あるいは全裸でやるのがベストということか…。

細い繊維が乗っかった後が残ってしまった

なんやかんやして塗装完了。多分ツヤツヤに仕上げるなら、やすりがけなどする必要があるだろうが、細かい凹凸のあるサラッとしたテクスチャーが気に入ったのでやすりがけはしないことにした。

塗装完了

今回の塗装に使用したのは以下のスプレー缶と本数。 前作で使用した本数とほぼ一緒だった。

前作に比べて積層痕やへこみがなく、左右の色もそろっているのでかなり満足のいく塗装の仕上がりとなった。 あとはThumbプレートをつければケースが完成する。

今回はここまで。次回はThumbプレートの接着や打鍵音の調整について書こうと思います。

この記事は自作分割キーボードPosture3338で書きました。

分割型キーボードの自作に再びチャレンジ(3)

自分の悪い姿勢を矯正したいと考えて分割キーボードを製作しています。前回の記事ではケースの設計について書きました。 今回は基板の設計とはんだづけについて。

基板の設計

キーボード基板

ケースの設計が一通り終わったところでケースに合わせて基板の外形を書き、素子の配置、配線ができるかを確かめる。 回路図は前作のものを使いまわしすればすぐにできる。

右手側の回路図

問題はPCBエディタでの配線。だいたい自分はいつも次のような順番でものを決めていると思う。

  1. キースイッチ、ダイオードを配置。
  2. ケースに合わせて外形線を引く。
  3. MCUの位置をざっくり決める。スペースが空いているところに配置。
  4. MCU周りのセラロックコンデンサなどを配置する。
  5. USBコネクタ基板とケーブルでつなぐためのスルーホールの位置を決める。
  6. TRRSコネクタ基板とケーブルでつなぐためのスルーホールの位置を決める。
  7. スイッチのRow、Columnの線を表側、裏側どちらを通すか決める。
  8. MCU手前まで配線。スイッチ配線のMCUのピンの対応を配線しやすいように回路図をいじりながら最適化。MCUの位置を最終決定する。
  9. 塗りつぶしなどを整える。

最近はGNDベタの塗りつぶしをさぼっていたけど、これをしないと配線部分のレジストが少しだけはがれる確率が増える気がする。GNDベタがないと配線部分が少し高くなる。複数の基板が重ねて梱包されているので、配線部分が擦れてレジストがはがれやすいのではないか。だとすればGNDベタの塗りつぶしをすればマシになる気がする。実際GNDベタを入れた今回の基板で配線のレジストがはがれているものはなかった。たまたまかもしれないけど、GNDベタをしたほうが良さそう。まあでもGNDベタなくても配線切れてたことはないので気持ちの問題。

右手基板

TRRSドーターボード

今回はTRRSドーターボードも作る。 とてもシンプルなので設計は簡単。ネジの頭の寸法を気にしてできるだけ小さくするだけ。まあ安いので最悪失敗してもいいやの精神でサクッと設計完了。

TRRSドーターボード

USBドーターボード

以前作ったUSBドーターボードを流用。こういうのは一度作ると使い回しがきく。

基板が到着

ELECROWにキーボード基板、TRRS基板を発注。TRRS基板は5枚でも10枚でも値段変わらなかったので10枚で発注。届いたのがこれ。たくさんあってもはや数える気にならない。これでしばらく分割キーボードを自作するのに困らない。(まあ今作をエンドゲームにするつもりなのでもう使わないかもだけど)

いっぱい来た

基板へのはんだ付け

ケースやスイッチプレートと仮組みして問題ない無いことがわかったら、基板のはんだ付けを行う。 (実際はケースに一部問題があって修正した。これについては次回の記事で。) まずはMCUがPCに認識されるために必要最低限の部品をはんだ付けしてテスト。 それが終わったらソケットとダイオードをつける前にファームウェアを書き込んで動作テストを行う。問題なければ残りの部品をすべてはんだ付けし、最終チェック。

ファームウェアを書き込んで動作テスト

動作チェックも完了してよし!と思ったら、一か所はんだ付けを忘れているところを発見。こういうのは毎回はんだごてを片付けた後で見つかる…。

SW12ソケットのはんだ付けを忘れている…

Windows PCの電源投入時にキーボードが動作しない問題

前作の分割キーボードはなぜかWindows PCにUSBでつないだ状態で電源を投入したときにキーボードが効かない、という問題があった。 同じことが今作の分割キーボードでも起こった。 USBを一旦抜いて挿し直せば動作するものの、だいぶ面倒くさい。 明らかに自分の作った何かに問題がある。 X(Twitter)でこの問題をつぶやいたら以下の記事を教えてもらえた。

t.co

この記事はRP2040についてのもので、自分の使用しているMCUはATMEGA32U4だけれど、この記事のSPLIT_USB_TIMEOUTが大いに関係していそう。 他のキーボードのファームを参考にしてみると、config.h内で定義しているものがあった。2500と設定されているものが何例かあったので真似してみたが、これではダメだった。一方5000にしたら問題が解消された。後はどれくらい短くできるかを調べていき、結局3500にした。

また左右に同じファームを書き込んでいたが、そうするとなぜかMaster側(USB接続側)は反応するけど、Slave側は反応しなくなる。結局ファームウェアは左右別々にし、SPLIT_USB_TIMEOUTはMaster側にだけ書くことでうまく行った。

スタビライザーの取り付け

スタビライザーの調整はいつも手間がかかって上手くいかないと辛い。 何が原因なのか、理解したくてよく観察してみた。

スタビライザーをよく観察する

これでわかったのは、スイッチのステムにぐらつきがあって前後すると、キーキャップを通じて一体となっているスタビライザーステムとワイヤーの位置関係が変わる。これによって、スタビライザーステムとワイヤーの間に隙間ができたりできなかったりするので、これがカチャカチャ音の原因になっていると思う。一方で上面から見て左右方向のグラつきはさほど問題にならない気がする。

カチャ音の対策としては

  • ステムのぐらつきの無いスイッチを使う
  • スタビライザーステムとワイヤーの間の隙間を何かで埋める

等が考えられる。スタビライザーのハウジング・ステムの遊びがないほうが良いのではないかと思ったが、キーキャップが歪んでいることも少なくないので、あまりに遊びがないとそもそもキーキャップがつかないことがあるのかもしれないなぁと思った。 YouTubeとか見てると、ワイヤーの歪みを調整していることがあるけど、これはキーキャップが歪んでいないことが保証されていないと意味がないと思う。 自分はPBTのキーキャップを好んで使う。 PBTのキーキャップは歪んでいるのが当たり前と思っているのでワイヤーの歪みの修正はいつも行わない。

結局以下の処置を行った。

  • Holee Mod
  • PCBにKBDfans Stabilizers foam stickerを貼る
  • スタビライザーに付属していたシールをステムの下側、ワイヤーの下側が当たる部分に貼った

最後の処置は今回初めて行った。DUROCKのスタビライザーを買うと、最近ではステムに貼る小さなシールがついてくるみたい。Holee Modのバンドエイドに加えてこのシールをステム下側に貼ると、ワイヤーとスタビライザーステムの間の遊びはなくなる。 これらの処置で打鍵音はいい感じになった。

今回はここまで。次回はケースの塗装について書こうと思います。

この記事は自作分割キーボードPosture3338で書きました。

分割型キーボードの自作に再びチャレンジ(2)

自分の悪い姿勢を矯正したいと考えて分割キーボードを製作しています。前回の記事では主にキー配列について書きました。 今回はケースの設計について。

ケースの設計

キーボードの方針とマウント方法

まずはマウント方法をどうするかを考える。 これまで打鍵音にこだわって自作してきたキーボードでは控え目でマイルドな印象の音を目指してきた。 その方向性で満足のいくものができたので、今作は逆に音が鳴るものを作ることにした。

でも音が鳴るといってもなんでもいいわけではない。 例えばカサカサと擦れるような音ではなく、クリアで雑味のない音がいい。 そのためには滑らかなスイッチを使うのに加えて、

  • スイッチがプレートまたはPCBにしっかり固定されている
  • プレートはある程度質量がある(=厚みがある)

のがいいのではないかと考えている。 これは小さい軽いパーツが振動して鳴るのを避ける、ということだと思う。しっかり固定という点ではスイッチをPCBにはんだづけするほうがよい気がするけれど、メンテナンス性を考えてソケットを用いてホットスワップにする。

以前厚め(2 or 3mm)のアクリルでスイッチプレートを作った際に、硬質な印象の打鍵音になった記憶がある。 ただ、スイッチプレートが1.5mmよりも厚いとキースイッチの爪が引っかからずに抜けてしまう。 遊舎工房でアクリルの溝堀加工ができるようになっているので、これを利用してスイッチプレートを作ることにする。 厚いほうが良いだろうと思って5mm厚で作ろうと考えたが、溝堀加工が可能なのは2or3mmで5mm厚は対応していない。 なので3mm厚でスイッチプレートを作ることにした。

PCBはプレートに対して固定しなくても機能的には全く問題ないが、スイッチプレートにネジなどで固定したほうが打鍵音は硬いはっきりとした印象になる気がする。 これまでは柔らかい印象の音を求めていたのでできるだけ固定しないようにしていたが、今作ではM1.4のねじでPCBをスイッチプレートに固定することにする。 スイッチプレートとPCBの面間は2mmの間隔があるが、2mmの スペーサー、アクリル、シリコーンシートのどれかを挟むことにする。

リーフスプリングはまだ試したことがなくて気になっている。ただ、アクリルだとパキッと逝きそうな気がしたのでとりあえずガスケットマウントで作る。 後日気が向いたらリーフスプリングのスイッチプレートに変更できるようにある程度ガスケットのタブの幅を広めに取っておく。

プレート発注後、キー部7%でぴろりどんさんのアクリルリーフスプリングを採用したキーボードの存在を知った。 以下のブログで紹介されている。

piroriblog.hatenablog.com

アクリルでもリーフスプリングが可能であることを実証してくれているので、そのうち自分でもチャレンジしてみるかもしれない。

ケース外形

3Dプリントケースを塗装するので色だけでなく形状の見た目もいい感じにしたい。 キー配列が左右非対称なので、外形を対称な形にする必要はない。 むしろ非対称にすることにした。 あれこれ試行錯誤したけれど何が正解なのかわからなり、結局上面から見た外形はシンプルな四角い形をベースにした。 ただの四角なのは面白くないので、TRRSコネクタがつく部分はでっぱった・へこんだ形にし、左右がぴったりつくようにした。

ケース外形

前作の分割キーボードでは緩やかな曲面を上面につけてお気に入りポイントになった。 でも今作はベゼル幅をそんなに広くしないので、ゆるい曲面をつけても多分わからない。 いろいろ考えたけれど、いいアイデアが浮かばなかったので上面は凝らずに平面にした。 側面も平面にすると無骨な印象になるので、側面の下側を斜めに切り取って角度をつけた面を加えた。

ケース側面の下側には角度をつけた面

こうすると少しスマートな印象になる。 背面にはコネクタがあるので同じような意匠を加えるのは難しい。 こちらもいいアイデアが浮かばなかったので平面にした。 使っているときは背面は見えないので見た目よりも塗装のしやすさを優先。

角はC面取りのほうが見た目が好きだけれど、3Dプリントケース塗装前のやすりがけできっと角がぼんやりしてしまうのでRをつけることにする。 外形の角はR2、それ以外はR0.5にしておく。

ウレタンクッション用の溝

ケース底面のクッション材は打鍵音を決める重要な要因だ。 特に自宅の机は木製で選択を間違えると低音がよく聞こえるようになる。これまで

  • ゴム足
  • フォームの貼り付け
  • Anodized CNC Aluminum Feet
  • ウレタンクッションの貼り付け

などを試してきたが、ゴムのついたアルミ足やウレタンクッションが木製の机に振動を伝えにくい印象がある。 先細りしている形状がその先に音を伝えにくい気がしているけど、客観的な評価はできていない。

今作はチルト角度をつけたくないので、ウレタンクッションをケース底面4隅に貼り付ける。 ただ、自分はキーボードの位置を頻繁に変えるため、平らな底面に貼り付けたウレタンクッションの位置が徐々にずれ、ひどいときは外れてしまうという不満があった。 そこでカスタムキーボードなどであるように、ウレタンクッションの貼り付け部分に1mmの溝加工をしてクッションがずれないようにする。

ウレタンクッションの貼り付け部分は1mmへこませる

TRRSコネクタの固定

以前分割キーボードを製作したときには、TRRSコネクタにパネル取付用の4極ジャックMJ-064Hを使用した。 これをケースの角に取り付けたいのだが、ケースの4隅には底板取り付け用のネジを配置したくなるし、ウレタンクッションもなるべく角の近くに貼り付けたい。 さらにケースの高さもできるだけ抑えたいのだが、そんなこんなを考えるとパネル取付用TRRSコネクタはだいぶ大きくて場所を取りすぎる。

そこで自作キーボードキットでよく使われるTRRS4極ジャックを利用することにする。 キーボード基板に直接実装するとケースとの高さ調整がシビアになるので、TRRSコネクタ用の小さな基板を作り、ケーブルでキーボード基板とつなげることにした。 ジャックの先端をケースに嵌め入れることにすれば、M2ネジ1個で固定できる。

(左)底面側から見たTRRSコネクタ、(中)底面図、(右)断面図

基板の上面側(上図の緑色の裏側)はコネクタのピンが少し飛び出るので、それとケースの干渉を避けるために1.9mmほどケース側を切り取っておく。 TRRSジャックの丸い部分の外形は直径5mmなので、これを通す穴としてケース背面にφ5.1mmの穴を空けた。後日組み立てたときにはピッタリだった。これくらいのサイズなら両側0.05mm〜0.1mmのクリアランスでよさそう。

ケース側面の壁の厚さは最低3mmとしていたが、TRRSジャックの先端をケース背面の位置と合わせようとすると、基板やコネクタの四角い部分がケース側面の壁と干渉する。それを避けるために該当部分のケースを切り取っておく。 こんな構造にしたものだから、おかげで無駄に複雑になってしまった…。

キーキャップとケースの間の隙間

いつもどれくらい余裕を持たせるか迷う。 そもそもキースイッチの間隔は19.05mm。 キーキャップはこの間隔で配置しても隣同士のキーとの間に1mm弱くらいの隙間があるので、 どんなキーキャップでも外形はこれよりも小さいはず。 極論1uのキーに対して19.05mm x 19.05mmの四角い穴を空ければ原理的には良いはず。

一方でガスケットマウントのキーボード部分とケースの水平方向の位置はずれる可能性がある。 さらに3Dプリントケースの精度もある(0.2mmよりは良いはず)。 多少余裕を持たせるべきだけど、でもできるだけキーキャップとケースの間は小さくしたい。さてどうするか?

以前製作したアクリル箱組ケースの時には、19.05mmxN(Nはキーの行・列数)に対して+1mmのケース内寸にしている。つまり片側0.5mm+α(αはキーキャップが19.05mmよりも小さい分)の隙間。 アクリル板を自分で接着して箱を作るので誤差が1mmくらい出ても不思議ではない。今思い返すとかなり強気な寸法ですね…。

ただし今作は3Dプリントケースだしアクリル箱組よりは精度が良いはずなのでさらに攻められる。 一方で前作の分割キーボードでは19.05mm x Nに対して+0.4mm。これはさすがに攻めすぎで、ガスケットマウントだと位置合わせがシビア過ぎた。 そこで今回は+0.8mmとすることにした。 なのでキーキャップとケースの間は0.4mm+αとなる。 スケッチ上で1辺19.85mmの正方形を書いてスイッチ位置に合わせ、それに従ってケースを切り取る。

1uのキーに対して19.85mm x 19.85mmの穴を空ける

ただ、ものが来てから気づいたがこれは少し狭すぎる。 家にある(たぶん標準的な)キーキャッププラーが1uのキーの四角い穴にギリギリで入らない。 強引に入れられるけれど塗装が取れそうでやりたくない。 まあそこだけ別のもので頑張って取ればいいのだけれど、次回作る際はこのことも考慮したほうがいいかもしれない。

Thumbプレート

自分はスペースキー手前のケースベゼル部分に親指を置く癖がある。 今作は前作と同様に3Dプリントしたケースを塗装するつもりだが、頑張って塗装したところに皮脂がついてテカるのは避けたい。 そこで親指置き場にはステンレスのプレートを接着することにする。 最終的には磨いてツルツルにしたい。 カット部分の表面を磨く際に少し削れる&カットの誤差があるはずなので、発注時のステンレスプレートの寸法は念のため0.5mmだけ長くしておく。

Thumbプレート

底板

ウェイトを兼ねて底板にはステンレス3mmを使用することにした。 結構な重さがあるので安定するはず。 底板が側面から見えないようにしたいので、3Dプリントケース底面側に3mmの板をはめる構造にする。 あまり深く考えなかったので変な形になっている。

ケース底面の底板はステンレスで作る

3Dプリントケース側と底板の寸法を同じにするとはまらなくなるので、底板側を少しだけ寸法を小さくしておく必要がある。 3Dプリントの精度はどれくらいだろうかとか、レーザーカットされるステンレスの底板の外形は図面からどれくらい小さくなるのかとか、いつも迷ってしまう。 結局えいやっと決めて0.1mm隙間が空くようにした。 実際加工されたものが届いて組み立ててみると、塗装前のケースではちょうど良かった。

3Dプリントケースと底板のクリアランス

Fusionのスケッチ上でオフセットの機能を利用すると簡単に一回り小さいサイズの外形を作れることを今回学んだ。 これだいぶ便利。

Fusionのオフセットを利用すると簡単にできる

ねじ止め用のナット穴

3Dプリントケースのねじ止めのためにインサートナットを使うのをしばしば見るけど、インサートナットは地味に費用がかさむ。 そこで以前の分割キーボード自作で考えついたM2ナットをケースに空けた穴に入れる方法を今回も利用する。 これなら費用が抑えられる。

底板を固定するM2ネジのために、3DプリントケースにM2ナットが入る穴を空けておく

以前の寸法はM2ナットを入れる穴のサイズがガバガバだった。 面倒だけど今回は丁寧に作った。 側面から4.2mmx2.0mmの四角い穴を空け、底面側にはねじを通すφ2.5mmのキリ穴を空ける。 ナットの高さは1種だと1.6mmなので、四角い穴の高さは1.7mmくらいでもいいけれど、ナットを取り出したいと思った場合には隙間が全く無いと詰むので2mmとした。 ナットは一番奥に入れると所定の位置になるようにナット外形に合わせてケース側を切り欠いておく。0.1mmのクリアランスを取った。

側面の穴は、底面側にスケッチを書いた後に切り取り(両側)を使うと簡単にできる。

Fusionだと、切り取り(両側)を利用すると作業が多少楽になる

スイッチプレートの設計

スイッチプレートはいつものようにKeyboard Layout Editorで作ったjsonをもとに、Keyboard Plate Generatorでdxfを作成。 それをFusionで読み込んで外形を整える。 外形はケースの内側とできるだけ同じ形状にする。 プレートとケース内側の内壁とは1mm程度の隙間を設けた。 TRRSコネクタ付近はPCB同士をケーブルでつなぐので、そのためのスペースを少しあけておく。

ケース上面から見た断面図。青色がスイッチプレート

またUSBとスイッチプレートが微妙に干渉する部分があったので、スイッチプレートを少しだけ切り欠いておく。 ここの幅が1.5mmしかない。遊舎工房のレーザーカットだとカットライン2mm未満での変形等は保証対象外。 ただケースデザインの修正がとても面倒なのでリスクを承知でこうした。

USBコネクタの基板との干渉を避けるために少しだけ切り欠いておく

固定用のM1.4穴

3mm厚のスイッチプレートとPCBの間には2mmの隙間がある。 この隙間には、打鍵音を整えるためにフォームやシリコーンシートを挟むことを考えているが、その場合シートが板に密着していることが重要ではないかと考えている。 そうするとスイッチプレートとPCBをねじ止めしたくなる。 スイッチプレート側にM1.4のタップを切って裏側からねじ止めすることにする。 M1.4のタップは切ったことがないけど、下穴寸法はφ1.10mmみたい。 アクリルレーザーカットであけると少し大きくなると見込んでφ1.0mmの穴を空けておき、自分でタップ加工することにする。

穴の位置は、とりあえずスタビライザーの左右に配置。あとは四隅から1u分内側の位置と、あとは適当。穴が多いとタップ加工も組み立ても大変になるのでほどほどに。

PCBとの整合性を確認

ケースの設計が固まってきたら、PCBの設計もして素子を実装できるスペースが十分かを確認。 ケースの設計とPCBの設計を何度か行ったり来たりして設計を完成させる。 今作は最終的にファイルのバージョンが初めて100を超えた。 もっとシンプルに設計できるようになりたい…。

ファイルのバージョンが100を超えた…

発注

3Dプリントケース

3DプリントケースはJLCに依頼。 キーボードケースに加えて、塗装のテストのための小さめの部品も併せて製作を依頼する。 はんだづけの際、煙排気用に12cmのPCファンを脇に置いてやるのだけれど、これが不安定でしばしば倒れる。 このスタンドを設計して併せて頼むことにした。

煙排気用PCファンを立てるためのスタンド(図の白い部品)

素材は安価なSLAレジンを使う。どれにするか迷ったけれど8111Xにした。以下のサイトが選定するときに参考になると思う。

lunar-creation.com

green-keys.info

stepファイルをアップロードしてレビューを依頼。 その結果以下のErrorが出た。

JLCのレビューでErrorがでた

どこだかわからなかったし、まあええやろと思ってYesを選んで発注!

スイッチプレート

スイッチプレートは遊舎工房のアクリルレーザーカット。 Fusionで作ったスイッチプレートをdxfでいったん保存し、それに合わせて遊舎工房の溝堀りテンプレートを配置してカット依頼用のデータを作る。 データ入稿時に溝堀り加工であることを明示する必要がある。

溝堀加工はテンプレートの形状に限られるらしい。 プレートマウントのスタビライザ用の切り欠きとかは除きたい人なのでそういう図を作ったが、 出来上がったものはテンプレート通りのものだった(これで加工データの処理に余計な手間がかかっていたらごめんなさい)。 将来的には自由な形状を溝堀りできると嬉しい(でもおそらくテストを重ねた結果のテンプレートだろうから難しそう)。

テンプレートに左右のスイッチプレートを配置すると広大なスペースが空いてしまうことに気づく。貧乏性なので空いたスペースで何かを作りたい。以前はキーボードスタンド用のパーツを入れたが、もうキーボードスタンドは間に合っている…。

少し考えて、リストレストの嵩上げ用のパーツを入れることにした。自分が設計するケースは高さが嵩みがちなので、愛用しているFILCOリストレストMacaronではいつも高さが足りない。底面にクッションを貼り付けたアクリル板の上にリストレストを置けば、5mm程度の嵩上げが可能となる。リストレストの水平位置が動かないように左右にコの字型のパーツをねじ止めする。 底板側にM2ねじのタップ下穴としてφ1.5mmの穴を空けておく(レーザーカットで穴径が少し広がることを想定して0.1mm小さい寸法)。

アクリルレーザーカットのデータ。空いたスペースにリストレストの嵩上げのためのパーツも入れておく。

ステンレスの板

ケース底板のステンレス板とThumbプレートは切断堂にレーザーカット加工を依頼。 Thumbプレートはただの四角い板なので、探すともっと加工費が安いシャーリング切断などがありそうではある。 ただシャーリング切断だと面が歪まないか心配。 また別業者にすると送料も余計にかかってそんなに安くならないと考え、少し贅沢だけどThumbプレートも併せてレーザーカット加工をお願いした。

今回はここまで。次回はたぶん基板の設計について書きます。

この記事は自作オリジナルキーボードunity69で書きました。

分割型キーボードの自作に再びチャレンジ(1)

もともと悪い姿勢が最近さらに悪くなっている気がしています。 なんとかしたいけれど、筋トレ的なことは苦手で続かない。 タイピングがしたくなる分割キーボードを作れば姿勢が自然と矯正されるのではないかと期待して分割キーボードを自作することにしました。

われながら姿勢が悪い!

最近さらに姿勢が悪くなっていると感じている。 姿勢を矯正したいけれど、筋トレなどの修行的な方法は楽しくない。 分割キーボードを使えば胸を開いた状態にできて自然な姿勢を保てる、と巷で言われている。 これがもし本当なら、タイプし続けたくなる打ち心地のよい分割キーボードがあれば、良い姿勢を保つように自分を律しなくても自然と姿勢を矯正できるのでは? そのためにいい感じの分割キーボードが必要だ。

前回自作した分割型キーボード

以前に一度分割キーボードを自作したが全然使っていない。 もともと自作した動機は、それまで分割型に触れたことが無くて興味があったから。

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ほぼ試作のような位置づけで作った。 なので試験的な要素が多い。良かった点が複数ある。

  • 右手でマウスを使いながら左手でDelを打鍵できるようにしたのは使用感が良い
  • 初めて3Dプリントを利用して立体的なケースを作成
  • ケース上面の緩やかな曲面がお気に入り
  • 初めてケース塗装にもチャレンジ、初挑戦のわりにはなかなか良い仕上がり

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一方で反省点も多い。

  • チルト角度を気まぐれで勾配キツめの8度にしてみたが、角度が急すぎて使いづらい
  • 自分は左手の親指をスペースキー手前に置く癖があって、使っているとケースに手の油が…
  • ?キーの右隣りに矢印キーの上を配置し、その右に右Shiftを配置していたが、自分は?キーの右隣りにShiftがあったほうが具合が良い
  • Poronフォームでガスケットマウントにしたが、フォームを潰しすぎて打鍵感はイマイチ
  • PCB~ケース底の間の空洞が大き目で音が響く、打鍵音もイマイチ
  • 3Dプリントケースに小さいへこみがあったりして仕上がりが少しだけ残念
  • 塗装はかなりきれいにできたが、左右でやすりがけ具合や塗装具合が異なるために左右で質感の違いがある

仕上がりは悪くないのだが使用感について不満が多いので結局全然使っていない。 まあこれから学んだことは多いので、いい点は残しつつ反省点を修正して常用できる分割キーボードを作ることにする。

新たに製作する分割キーボードの仕様

前作の分割キーボードの反省から以下の要件を取り入れることにする。

  • チルト角度はつけない
  • 右Shiftは?キーの右隣
  • ケースのスペースキー手前の部分は耐久性の高い素材を使う
  • Delキーを左側に(も)配置する
  • ケースはアクリル以外で作る
  • ウェイトをつけて安定させる

最近はケースをアクリル箱組みで作っていたので、今回は再び3Dプリントでケースを作って塗装することにした。

キー配列

キー配列はあーでもないこーでもないといじって結局以下のようになった。

キー配列

  • Bは右でも左でも打鍵するので両方に配置。
  • 6キーは前作では左右両方に配置したが、結局必要性を感じない。6キーが2つ入っているキーキャップセットは多くない(というかない?)ので片方のみとする。
  • 数字キーはテンキー的な配置をレイヤーに配置して試してみることにする。これに慣れることができると40%キーボードの使い手に一歩近づけるはず(40%サイズの見た目が好みなので使えるようになりたい)。
  • これまでは矢印キーの上矢印はShiftの右隣り、他の矢印キーは一番手前の行に来るよう配置していた。でもそうすると、Delキーと矢印キーの間が空いてケース上面の余白が広くなり、ケースを設計したときにコレジャナイと感じる。Fnの位置のこと(後述)もあって矢印キー4つを右上に移動させた。
  • 常用している自作キーボードでは、矢印キーとFnを組み合わせてHome、End、Page Up/Downにしている。Fnの位置を左矢印の下側に持ってくると、Fnを親指で自然な感じで押せることが分かったのでこのような配置にしてみる。
  • これまで自作してきたキーボードではPage Up/Downを単独のキーとして配置していたが、Fn+矢印キーばかり使っていて単独のPage Up/Downをほとんど使っていないことに気づいた。よって単独Page Up/Downキーを右手側には配置しない。ケースベゼルの余白のバランスをとるために左手側に配置する。

これで左側の幅は8.5u、右側は10.75u幅。左右でだいぶ異なる。 左右対称にできると美しいのだけれど、実用性を考えると矢印キーは譲れない。左手側に余分なキーを増やすのも嫌なので、非対称だけれどこれで良しとする。

キーボードの名前を考える

今回は姿勢を良くしたいというのが自作の動機になっている。 姿勢・体の構えは英訳するとpostureというらしい。 音感も悪くないので、これに左右のキー数をつけてposture3338という名前とした。 名前を思い出すたびに姿勢を正すようにとの願いを込めて。

今回はここまで。次の記事では設計について書く予定です。

この記事は自作オリジナルキーボードunity69で書きました。

キーボードの良い打鍵感とは何か?

キーボードにこだわり始めると良い打鍵感を求めるようになります。 しかし「良い打鍵感」とは何なのでしょうか? この言葉について掘り下げてみます。

まえがき

そもそもこの記事を書こうと思ったきっかけはびあっこさんのこちらの記事です。 biacco42.hatenablog.com

「情報を食べていないか?」という言葉が個人的には最も印象的でした。 自分が普段感じている懸念を短い言葉でうまく表してくれたからです。 その懸念とは、「われわれ買い手は、売り手側のブランディングという外的要因に自分の好みを歪められてはいないだろうか」ということ。

例えば静電容量無接点スイッチの打鍵感を至高と考える人がメンブレンのキーボードをこきおろすのをしばしば目にします。 でもあの打鍵感を生み出しているのは静電容量ではなくメンブレンと同じラバードームなのになぁと思うのです。 ラバードームによる独特のクリック感、スライダーやキーキャップの品質の違い、鉄板による安定感などの要因で「良い打鍵感」だ、などと主張してもらえれば、なるほどとなるのですが(これらの要素で打鍵感が決まっているのであれば、メンブレンでも同じ打鍵感を得られそうです)。

「良い打鍵感」という言葉も注意が必要です。 良いというのは結局は個人の好みです。 自作キーボードを嗜み、何台も所持している人は、良い打鍵音=個人の好みであることを認識していると思いますが、(自作)キーボード初心者の方はこれを意識しておく必要があります。 キーボードを使うのはみな人間という種なので好きが共通していることも少なくないでしょう。 しかし誰かが良いと評価したものが必ずしも自分にとっても良いとは限りません。 逆もまた然り。

つまり良い打鍵感を探し求めるということは、自分の好みを探すことと言いかえることができます。 では、あなたは良い打鍵感=自分の好みの打鍵感がどんなものか説明できるでしょうか?

私はうまくできません。同じように言語化できない人は結構いるのではないでしょうか。 原因として、(1)「打鍵感」という言葉がふわっとしていて何のことを指しているかわかるようでよくわからない、(2)自分の好みを実はよくわかっていない、という2つの不明確があると思います。 自分の好みを知るのはいろいろ体験してみるしかないような気がします。 ただ打鍵感というふわっとした言葉はもう少し明確にできるのではないかと思うのです。

そこでこの記事では打鍵感という言葉はどのような感覚を内包するのかを考え、それに関係する要素を挙げてみます。

打鍵感という言葉

わたしは触覚にまつわるものを指すときに打鍵感という言葉を使用するようにしています。 打鍵音と区別して考えたいからです。 一方、五感の感を取って打鍵感とするのであれば、聴覚からくる打鍵音も含めて打鍵感である、と言うこともできるでしょう。

嗅覚、味覚が打鍵に伴うことは無いと思います(あったら面白いけれど)。またキーボード本来の機能である文字入力の場面を考えると、打鍵中はディスプレイを見てキーボードを見ないので、ここでは打鍵感に視覚を含めないことにします。

このように第一に触覚、加えて聴覚にまつわるものを打鍵感の要素とするのがシンプルな定義でしょう。

またタイピングのしやすさも良い打鍵感に含めることもできそうです。 そうすると、キー配列やキーキャップの形状も打鍵感という言葉の範疇と言えます。

もう一点、打鍵感には満足感も裏に潜んでいるのではないかと考えています。 上で例に挙げた静電容量無接点スイッチのように、そのブランドイメージが好きであれば、打鍵時に満足感を感じます。 われわれはその満足感も無意識のうちに良い打鍵感という言葉に含めていないでしょうか? 私が打鍵感という言葉が何かふわっとしたように感じれらるのは、この満足感のためではないかという気がしています。

以上のように打鍵感はいくらでも範囲を拡張できる言葉に思えてしまいます。 それをすべてカバーするのは難しいので、 以降では触覚・聴覚にまつわる打鍵感の要素を挙げて考えてみます。 ただし私は触覚・聴覚にまつわるものと最後に挙げた満足感にまつわるものを完全には区別できてないかもしれません。

打鍵感をきめる要素

キースイッチ

打鍵感にこだわると、まず考えるのはキースイッチのことでしょう。 リニア、タクタイル、クリッキーという分類で、どれが好みなのかを答えられる人は多いと思います。 さらに掘り下げた打鍵感について、再度びあっこさんの別の記事を引用します(そして自分が書くのをサボります)。

www.itmedia.co.jp

「ぐらつきの少なさ」「なめらかさ」「フォースカーブ・バネ」「音」という4つの指標で整理しています。 記事には書かれていない以下のことを補足できると思います(書いてあって私が読み落としているかも)。

  • ステムの押下長(底打ちまでの押し下げ長)
  • アクチュエーションポイントの浅い・深い

これらもフォースカーブで表すことができます。

数多あるキースイッチについて、上の指標を比較しながら自分の理想のスイッチを探すわけです。 しかしこれは簡単ではありません。 「ぐらつきの少なさ」「なめらかさ」「フォースカーブ・バネ」「音」の4つの指標を、数値化して比較することが困難だからです。

フォースカーブは唯一はっきりと数値化しているものです。しかし道具がないと測定できません。 またフォースカーブを手に入れても、感覚と結びつけるのは難しいものです(あなたは自分が理想とするスイッチのフォースカーブを描けますか?)。

音も録音して記録でき、YouTubeなどの打鍵動画を参考にすることができます。しかしマイクの性能などの録音環境によって聴こえ方が大きく異なるので注意が必要です。 おすすめは、様々なスイッチを同一人物が同じ録音環境で同じキーボードにつけて録った打鍵動画を比較することです。 スイッチの打鍵音の相対的な比較ができます。

「なめらかさ」も数値化するのが難しい指標です。 わたしはリニアスイッチの場合はフォースカーブにある程度反映されると考えています(詳細はこの記事)。 ただし系統的に調べてないので仮説にすぎません(誰か系統的に調べてくれないかな~)。

ぐらつきの少なさもあまり定量的なデータがなく、販売サイトではその情報を正確に知ることはできません。 ただ世の中にはすごい人がいるもので、こんなデータがあります。

www.theremingoat.com

Switch Measurement Sheet、Composite Measurement Sheet.xlsx、のTolerancesのシートにステムのグラつきについてのデータがあります。

打鍵音

打鍵音はキースイッチだけでなく、マウント構造やケースの素材など、キーボードを構成する様々なものに影響を受けます。 それについては以前書いたこちらの記事を引用しておきます(そして書くのをサボります)。

kgnwsknt-chef.hatenablog.com

さらに補足すると以下のようなものもあります。

  • ソレノイドで打鍵時に音を鳴らす
  • ピコピコ電子音が鳴る

ソレノイドの音はタイプライターの打鍵音を思わせるので、クラシックさを味わうようなものなのでしょうか? 一方ピコピコ電子音が鳴るのは、電子楽器に近いかもしれません。 自分の好きな音を鳴らすハードがあれば、音を鳴らすことで好みの打鍵音を得られそうです。 ただ公共の場で使用するのは憚られますね。

キーキャップ

キーキャップは本当にいろんな形状のプロファイルがあります。 そしてその形状によっても打鍵感が変わります。

私の好みを例に説明すると、私の好みは天面がスフェリカルな形状(SAやKAT)です。 一方、天面がフラットなプロファイルはなんというか、打鍵したときに指の感触がそっけない感じがして、どうもしっくりきません。 また最近気づいたのですが、私は天面がシリンドリカルになっているcherryプロファイルのキーキャップだとタイピングのしづらさを少し感じます。 またスフェリカルでもMT3のようにホリが深い形状はしっくりこない感じがあります。

このキーキャップの形状のしっくりくる/こない感は、タイピングのフィードバックということかなと考えています。 キーボードを見ずにタッチタイピングしていると、指がキーキャップの真ん中ではなく端を押してしまうこともあります。 その場合にキーキャップの端を指が感じるので、指の位置がずれている、あるいはミスタイプしたことがわかります。 それをもとに打鍵位置を修正することを無意識のうちにしているのだと思います。 そういう点では、天面の面積の大小(隣り合うキーキャップの天面の端同士の距離?)や四角や丸っぽい形状によっても同じようにしっくりくる/こない感が異なりそうです。 実際天面の面積が大き目のMDAプロファイルは少しだけしっくりこない感があります。

ただ、上の私の好みは普遍的では無いようです。 ノートパソコンのキーボードはほとんどが天面フラットになっていますが、特に違和感がありません。 好みのキーキャップの形状は、キーの高さや押下長との組み合わせによっても変わるのでしょうか。 このように私は自分の好みを十分にわかっていません。

材質の違いなどによる表面のサラサラ・ツルツル感(表面の粗さ)などももしかしたら打鍵感に影響するのかもしれません。ただ私は気にしたことがありません。

またキーキャップの形状や素材、厚みなどによって打鍵音が変化します。タイピング時のしっくりくる形状、打鍵音、そして見た目のすべてが自分の好みのキーキャップにめぐり逢いたいものです。

打鍵時の柔らかさ/硬さ

ガスケットマウントなどのスイッチプレート・PCBが沈むような構造のキーボードで意識されいている打鍵の柔らかさなども打鍵感を語るうえで欠かせません。 スイッチプレートをステンレスなどの硬い金属で作ってケースにがっちり固定すると、底打ちしたときの打鍵感が硬くなり、人によっては指が痛くなります。 こういう文脈で柔らかい打鍵感が好まれることが多いと思います。

ただし柔らかければ柔らかいほど良い、というわけではないはずです。 ガスケットマウントなどでプレートが沈みやすい場合には、底打ちしたときにキースイッチの押下長以上に大きな変位が生じます。 変位量があまりにも大きすぎるとタイピングしづらくなるでしょう。

ただし底打ちしない人にとっては、プレートの硬さは関係なさそうです。

柔らかさの均一性

カスタムキーボードでは打鍵感の柔らかさの均一性がしばしば語られます。 多くの場合、均一なものは良く、不均一なものは悪いという評価がされていると思います。

一方でへそまがりな私は、均一な打鍵感が良いというのはどうしてだろうか、と考えてしまいます。 人間の指はそれぞれ長さも太さも異なり、結果として打鍵する力も異なります。 Realforceの変荷重モデルはそのことを意識しているでしょう。 またColumn Staggeredの自作キーボードも指の違いを意識してキーの配置を考えることが多いと思います。 指の違いを意識するのであれば、その違いに合わせた不均一さが理にかなっているような気がします。

まあ好みの問題なので理にかなっている必要も無いのですが、均一性が良いとされる理由は何なのか、自分なりに考えてみました。 一つは打鍵音の均一性ではないでしょうか? 触覚的打鍵感が均一であれば打鍵音も均一になりそうです。 打鍵音にこだわってキーボードを自作してきた自分としてはキーによって打鍵音が違うのは気になっているところです。

別の理由として、不均一なものに比べて均一なものはある種の美しさを感じられるという美的感覚かもしれない、と考えたりもします。 例えば60%サイズのRow Staggered配列は行ごとにずれがあるにもかかわらず、全体での左右の幅は各行で揃っています。この見た目の秩序が私は好きですが、柔らかさの均一性は触覚においての統一感ということかもしれません。

そんなことを考えていると一つの仮説が浮かびます。 それは「打鍵感の均一性はRow Staggeredのカスタムキーボードだけで語られているのではないか」というものです。 Row Staggered配列は指の差異を無視したデザインです。 親指を除くすべての指を平等(?)に扱っているので、打鍵感も平等に、ということかもしれません。 そういう点ではOrtholinear配列も同じです。 一方でColumn Staggered配列ではあまり議論されていないのではと想像します。 (まあ全然見当違いかもしれません)

打鍵時のプレート・PCBの反動(振動)

打鍵時のプレート・PCBの反動というのも打鍵感の指標としてあると考えています。

これはプレートレスPCBマウントのキーボードを自作したときに感じました。 スイッチプレートが無いためにPCBがしなりやすく、打鍵の底打ち時にPCBがバインバインと振動します。 自分は指に感じるこの反動が好きになれなかったので、PCBとケースの間にフォームを入れてこの振動を抑えました。 この底打ち時の板の振動はスイッチプレートを金属で作ったときには全く意識しなかったことです。

これは振動の変位量と関係していそうです。 柔らかい素材のスイッチプレートやPCBにスリットを入れると、板が変形しやすくなるので打鍵時の変位量が大きくなります。金属などの硬い素材を用いたスリットのないプレートであれば変位量は小さいでしょう。 指が感じることができる振動の変位の大きさに閾値があるとすれば、金属プレートでは変位が小さいから振動を感じないということかもしれません。

また振動の周期(周波数)と関係しているかもしれません。 柔らかい素材を使ったりスリットを入れるなどして板を変形しやすくした場合、振動の周期が長く(周波数が小さく)なる傾向があるはずです。 打鍵の速さ(0.1秒程度?)と同程度の振動の周期だと気になるということがあるのかもしれません。 あるいは触覚の感度に周波数依存性があって、振動の周波数が高い金属プレートの振動は感じないということなのでしょうか?

フォームを入れると振動の変位量が小さくなるはずですが、弦楽器のミュートのように振動の減衰時間も短くなっていそうです。 この減衰時間の短い・長いも打鍵感と関係するでしょう。 振動の減衰という指摘は、打鍵音の周波数分析をしていたときにも目にしたことがあって気になっています。 測定・分析できると面白そうです。

良い打鍵感とは心地よいフィードバックではないか?

好みの打鍵感を求めるということは心地よいフィードバックを求めることと言いかえられるのではないでしょうか? 満足感を含めない狭義の意味での打鍵感、つまり触覚と聴覚にまつわる打鍵感はそのように言える気がします。

私は昔からタッチパネルでの入力に苦手意識があったのですが、これは入力時に触覚的なフィードバックが無いためです。 最近スマホを新しくしたのですが、操作した時にわずかに振動する設定ができて、これは悪くないなと思いました。 またほぼ日課になっているタイピングテストを行うときに、キーボードの打鍵音がよく聞こえるときは調子が良いように思います(気のせいかもしれません)。

あとがき

打鍵感についてあれこれ書いてみましたが、考えれば考えるほどフィードバックと満足感をちゃんと自分は区別できているのかわからなくなってきます。 まあでも結局は好みの問題です。そんな区別は必要ないのかもしれません。 キーボードについての「情報を食べる」ことについて批判的に書きましたが、満足できるのであればそれでも良いのだと思います。

ただ、自作キーボードの醍醐味の一つは、良い打鍵感=自分の好きを探求して試行錯誤することだと私は思っています。 過剰広告、情報過多があたり前の世の中ですが、新しいものはインプットしつつ、しかし外的要因に洗脳されることなく自分の本当に好きなものは何かを見極めていきたい、と自分は考えてしまうのです。

この記事は自作したオリジナルキーボードunity69を使って書きました。

データ分析が明らかにするタイピングの特徴

キーボード #2 Advent Calendar 2023の19日目の記事です。18日目はPekasoさんの「自作キーボードのケースをアクリル板でいい感じに作る2023」でした。どれも上手いアイデアでとても参考になるし、仕上がりがきれいなのでさすがですね。

さて、この記事で話題にするのはタイピングデータです。 自分のデータを分析してみたら、全く予想していなかった特徴があることが分かりました。 ここでは私のタイピングデータの分析を紹介し、その特徴を考察します。

はじめに

キーボードの配列の最適化問題はおそらくまだ誰も明確な答えを持っていない興味深い課題です。 配列の良し悪しは様々な基準で評価されていますが、 私は個人のタイピングの癖や特徴を把握する必要があると考えています。 そんなわけで自分のタイピングデータを収集するために、自作したWindowsアプリ(Keyboard Typing Analyzer)を作ってデータを集めています。

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使用しているキーボードはrow staggeredのQWERTY配列で、 主なサンプルデータはブログや日記などを日本語(ローマ字入力)で書いているときのタイピングと、英語のタイピングテストです。

Keyboard Typing Analyzerでは入力したキーと時間を記録しており、例えば連続した2入力(以降2連接と呼ぶことにします)にかかる時間や頻度などを知ることができます。日本語の文章をタイプしているときのデータをグラフにしてみると、全く予想していなかった分布が現れました。

日本語入力の時の不思議な分布?

下図の左は2連接にかかった平均時間(横軸)とその頻度(縦軸)の相関です。各点は「su」や「ta」などの各組み合わせを表しています。例えば一番頻度の高い点(132.4, 1646)は「nn」です。 ここでは頻度が極めて少ないものはミスタイプとみなして除いてあります。

(左)2連接の平均入力時間と頻度の相関、(右)2連接の平均入力時間の分布

この図を見ると弱い相関がみられます。 頻度が高い組み合わせは、それを最適化するように自分が適応したためか、入力時間が短い傾向があります。 頻度が高い組み合わせで入力時間が250 msを越えるものはありません。

予想外で驚いたのは入力の速いグループと遅いグループの2つに分離しているように見えることです。これは右図の1次元ヒストグラムをみると、よりはっきりします。 2つのピークの間隔はわずか0.1秒程度しかありませんが、これほどはっきりと分かれているのは何か理由があるに違いありません。 これを明らかにするため、あれこれ調べてみました。

英語のタイピングテストのデータ

英語のタイピングテストだとどうなるのか、という疑問がまず浮かびました。 見てみたのが下の図です。

英語のタイピングテストの場合の(左)2連接の平均入力時間と頻度の相関、(右)平均入力時間の分布

頻度が高いものは入力時間が短い傾向があるというのは、日本語入力のデータと同じです。 しかし入力時間分布が2つのグループに分かれている、ということはありません。

2連接の入力パターンによる分類

さらに調べてみると、どうも子音+母音(下図赤)という組み合わせの場合は入力が速く、母音+子音(下図青)の組み合わせは遅いグループとなっていることがわかりました。

日本語入力の場合の(左)平均入力時間と頻度、(右)平均入力時間の分布。赤は子音+母音、青は母音+子音の組み合わせ。

英語のタイピングテストのデータで同じことを見てみると、子音+母音、母音+子音で入力時間の分布に大きな差はありません(下図)。

英語のタイピングテストの場合の(左)2連接の平均入力時間と頻度の相関、(右)平均入力時間の分布。赤は子音+母音、青は母音+子音の組み合わせ。

ちなみにこれらのサンプルデータは、書く内容を考えながらタイプしているのと、画面に表示されている文字をそのままタイプしている、という違いがあります。 そこで統計量は少ないですが、日本語のタイピングテストの場合も見てみたのが下の図です。

日本語のタイピングテストの場合の(左)2連接の平均入力時間と頻度の相関、(右)平均入力時間の分布

2つのグループに分かれています。 これは日本語の文章を入力しているときと一緒です。 タイピングテストかどうかではなく、日本語と英語で違うようです。

この違いはなぜなのか?

上の入力時間分布の違いは、日本語と英語で入力単位が異なるからと解釈できる気がします。 ここで入力単位は一気に連続して入力する塊とします。

日本語ローマ字入力の場合、ほとんどの文字は子音+母音の組み合わせでひらがな1文字を形成し、多くの場合は子音と母音が交互に現れます(ちゃんと調べていないのでどれくらいの割合かは不明)。 入力の単位がひらがな1文字となっていれば、子音、母音、少し時間が空いて、子音、母音と打鍵される場合が多くなり、母音+子音のパターンの入力時間が遅くなりそうです。

あるいは入力単位が単語や文節ということも考えられます。 日本語では漢字変換のためにスペースキーを押します。 私は比較的短い文節で変換しますが、本分析では"a k"のようにaとkの間にスペースが入力された場合は2連接と判定していません。もし文節の入力中は母音・子音関係なく同じリズムで打鍵できているとすると、上の図のように2つに分離するような顕著な違いは現れないでしょう。 自分としてはスムーズに文節を打鍵しているつもりですが、実際にはひらがな1文字が入力単位になっているようです。

これに対して英語のタイピングテストでは、入力単位が単語になっている気がします。 実際にタイピングしている感覚としては1単語は1入力単位、もしくは2入力単位(例えばinc-rease)がほとんどだと思います。

以上のことは自分が感じているタイピングのリズムとリンクしていると思います。英語をタイピングしていると単語によっては3つ以上の入力を素早く打てるコンボがあり、心地良さを感じることができます。これにより1単語をシームレスに打鍵していると感じることがよくあります。

一方、日本語を打鍵しているときはコンボを感じることがありません。入力単位がひらがな1文字となっていれば、3入力以上がシームレスに打鍵できない、と説明がつきます。そういう点では母音を片手側に集めたキー配列を使えば左右交互に打鍵するリズムが生まれ、体感が良いのかもしれません。あるいはかな入力にすれば、英語打鍵時にあるような心地よい入力コンボを日本語入力時にも得やすくなるのかもしれません。

2連接の列(Column)の組み合わせごとの入力時間

配列の最適化のためには、連続打鍵の指の組み合わせが重要であると考えています。 そこで指に対応している各列(Column)の組み合わせごとの入力時間、頻度を見てみました。 qaz列を0、wsx列を1、…、pを9のように定義し、2連接の最初の入力を横軸に、2番目の入力を縦軸にとって入力時間の平均と頻度を示したのが下の図です。 白い色になっているのはz軸がゼロに対応しています。

日本語入力時の(左)各組み合わせの平均入力時間、(右)各組み合わせの頻度

英語タイピングテスト時の(左)各組み合わせの平均入力時間、(右)各組み合わせの頻度

これを見ると以下のことに気づきます。

  1. 日本語入力の場合、右手右手の入力回数(22,163回)は左手左手(12,755回)よりも多い
  2. 英語タイピングテストの場合、qaz列を連続入力することが無い
  3. 英語のタイピングテスト時は同じ列(=同じ指)の連続入力は明らかに他よりも遅い

2.に関しては、タイピングテストが選択している単語によるものかもしれません。 実際の英文ではpuzzleなどqaz列が連続するものが現れる可能性がありますが、やはり頻度は少ない気がします。

3.の同じ指の連続打鍵が遅い、というのは自分の体感と一致します。 ただし例外もあります。(第5列, 第6列)の入力(yhn列, ujm列)は入力時間が短くなっています。 これは私がnumberなどを打鍵する際、nを右人差し指、uを右中指、のようにnとuに別の指を使って速く打鍵しているからです。 快適なタイピングを求める際、配列や運指を工夫することにより、どれだけ同じ指の連続打鍵を減らせるかが1つのポイントになるでしょう。

2連接の各キーの組み合わせの入力時間

最後に2連接の各キーの組み合わせについての入力時間を示しておきます。 上と同様に横軸が1番目の入力、縦軸が2番目の入力になります。

日本語入力時の(左)各組み合わせの平均入力時間、(右)各組み合わせの頻度

英語タイピングテスト時の(左)各組み合わせの平均入力時間、(右)各組み合わせの頻度

ここまで細分化すると、組み合わせが多すぎて傾向はよくわからないですね…。 よく見ると、cvなどの日本語入力ではありそうもないパターンがあるので、ミスタイプを排除しきれていないようです。 ミスタイプの判定はさらに工夫する余地があります。

これらの図を見ると、データが存在している組み合わせは結構限られています。 アルファベットの組み合わせは26 x 26 = 676通りあるわけですが、実際に使用している(上の図の白ではないマスの数)のは、日本語だと224通り、英語タイピングテストだと225通りしかありません。 入力している文字が偏っている可能性もありますが、配列の最適化を2連接のデータで考える場合、676通り全ての組み合わせを考える必要はなく、せいぜい230通りくらいを最適化すれば十分なようです。

さらに自分のタイピングの癖をある程度知ることができます。 例えば「ぃ」の打鍵の仕方はxiやliなどがありますが、私は「xi」としているようです。 「ぃ」はたいてい(必ず?)子音を前に伴うので、「thi」などのように打鍵することでもっと速くタイプできるはず。

あとがき

自分のタイピングデータを分析してみましたが、言語によって明らかに様子が違います。 予想してはいたものの、ここまで大きく異なるのは意外でした。 言語によって最適な配列が変わるはずなので、レイヤーごとに配列を変えて、入力言語でレイヤーを切り替えるといいのかもしれません。 (かな入力の人は英字入力の時にはそうしている?)

これだけ入力時間分布が異なるということは脳の使い方も全く異なっているんだと思います。 でも日本語の文章でも日本語のタイピングテストでも同じように入力時間分布が2つに分離していました。 文章書くときとタイピングテストは全然違う脳の使い方をしている気がするんですけどね。 これは自分の日本語ローマ字入力のタイピングがまだまだ未熟ということなのか、あるいはキー配列が良くないのか…。

明日の記事は五月雨さんです。

このキーボードは自作オリジナル65%キーボードunity69で書きました。

格子配列キーボードcool650にチャレンジ

格子配列のキーボードを試したくなったので、自作キーボードキットのcool650を購入しました。自作キーボードは組み立て自体が楽しいものですが、それだけではなく、使ってみることでこれまで全く意識していなかったことを発見したりして面白いものです。今回の記事はキットの組み立てと使ってみて気づいたことについて。

格子配列キーボードが気になってきた

自宅用のキーボードはエンドゲームと言えるものができたので、持ち運び用のキーボードを作ろうと考えている今日この頃。格子配列だと外形を整えやすいし良いかな~、となんとなく妄想している。格子配列はこれまで使ったことはないのだが、2023年7月に行われたキー部5%で触った時には結構タイプできそうだと思った。

そんなわけで格子配列が気になっている。これまで複数キーボードを設計から自作しているので、まあ基板は自分で作れるのだけれど、分割にするのがいいのか?スペースキーの位置はどこがいいのか?2Uとかが良いのか?、と考え始めると色々わからない。そこでキットとして販売されているものを作ってみて格子配列キーボードの使用感を確かめてみようと考えた。

分割できる格子配列のキーボードを探していたら、cool650とcool664というのが候補に挙がる。cool650は片側6u x 4行 + 1キーの分割格子配列。cool664の方は片側6u x 5行 + 2キーで数字行もあるもの。 この命名規則は例えばcool650の6は片側の列数、50はキー数ということかな?  → 6の桁は配列を示していて6が格子配列だそうです(設計者様に教えていただきました)

数字行のあるなしでどちらにしようか迷ったけれど、

  • 最終的に持ち運び用を作りたいのでできるだけコンパクトが良い
  • 5行よりも4行のほうが見た目が好み

という2つの点からcool650にした。BOOTHで購入できる。左右で基板が共通となっているので、片側分x2と組み立て用のオプション部品Bを購入。

booth.pm

cool650の組み立て

キットは基本的に部品が準備されているのでとても楽。自分で設計からやるとすべての部品を調達しないといけないのでこれはありがたい。cool650の基板はダイオードの向きが統一されていて、しかも実装位置が整列しているのでとても分かりやすい。この辺は自分が基板設計する際に見習いたいところ。

またPro MicroをPCBに直載せというのも自分には目新しい。通常はピンヘッダやコンスルーなどを間に入れるが、これを省略することで薄くできる。なるほど~。

はんだ付け時の注意点

このキットで気をつける必要があるのは以下の2点だろう。

  1. 左右共通となっている基板の部品の実装面
  2. Pro Microの向きとPCBへの直付け

1.の左右共通基板は気をつけないと間違えそうになる。基板の端にfront-Right sideなどと記載されているのでそれを何度も確認した。また部品実装位置はBOOTHの写真を何度も見返した。2.のPro MicroのPCBへのはんだ付けするときにも実装面と向きに注意が必要。ビルドガイドは向きについて基本的に文字で説明が書かれているが、完成品の写真も併せて参考にするといいと思う。またピンヘッダのプラスチック部分を取るという少しトリッキーな工程が必要になる。

Pro Microをはんだづけしたところ

逆に言えばこの2点以外で難しい部分はない。キーボードを設計した経験がある人なら、完成品の写真を見ながら上の2点に注意すれば作れると思う。自分は結局完成品の写真を見ながら我流で組み立てた。そのほうがパズルを解いているみたいで楽しい。まあでも良い子の皆さんはビルドガイドをちゃんと読みましょう。

マグネットピン

マグネットピンなるものを初めて触ったけど、これは便利。このキットでは分離している左右を結合、そして通信するのに使っている。少し失敗したのはこの部品の実装位置。左右を結合したときにケースの間に少し隙間ができてしまった(写真)。

ケースを組み立てると、PCBの端とケースの端がちょうど一致するっぽい

組み立てるとケースの端とPCBの端がちょうど一致している設計になっている?このマグネットピンの黒い部分の端もPCBの端にそろえるように位置合わせをするとケース端がぴったりくっつくように左右を結合できる気がする。

ケース組み立て

これも特に難しいことはないが、側面外周のアクリル部品の保護紙をはがすのが一番気をつかう。注意しないとポキっと逝ってしまう。

USBケーブル

久々Type-BのコネクタのUSBケーブルを使うことになったのだが、家にあったいくつかのケーブルは通信ができないものだったのでPCと接続しても反応せず、Pro Microがイカれてしまったかと少し焦った。またコネクタが太いUSBケーブルを使うとPCBの切り欠き部分との遊びが無く、抜き差しするときにPro Microのレセプタクルがモゲそうで怖かった。USBケーブルは選んだ方が良いだろう。

キーキャップをつけて完成!

格子配列用のキーキャップは持っていないが、困った時にはMT3 Extended 2048があれば何とか様になる。本当にこのキーキャップセットは何にでも対応できるので助かる。 贅沢を言えば、親指が担当するキーはかまぼこ型のConvexのキーが良いけれど、まあスペースキー分だけでもConvexにできたので良し。

キーキャップを取り付けて完成

キーマップ

とりあえず初期設定から少しだけ変更して以下のようにしてみた。かなりヤッツケになっているので使いながら変更していく予定。remapが便利すぎるので頻繁に配列を変更するのも簡単にできる。

キーマップ

使ってみて

今回初めて格子配列のキーボードを使ってみた。キー部5%で試した感触の通り、ほとんどのアルファベットキーは違和感なくタイプできる。キー部での体験が無かったら格子配列キーボードにチャレンジするのはだいぶ障壁が高かったので、いろんなキーボードに触れることができるイベントは本当にありがたい。

大体のアルファベットはおおよそ問題なく打鍵できるのだけれど、左手の手前のz, x, cの3キーだけは全然タイプできない。これはraw Staggeredのキーボードの時の自分の癖のため(後述)。 ESC, Tab, Shift, BS, Enterなどは40%サイズのキーボードを使っているときと同じ感覚。これは少し意識すれば一応対応できる。スペースキーの1Uもまあ打鍵できるけれど、まだ慣れないしミスしそうな不安感がある。たぶん格子配列での手の位置が定まっていないことが原因な気がする。 記号や数字などはraw staggeredの40%同様、自分にはまだ難しい。

キースイッチ

スイッチはお試しで色々なリニアスイッチ。5-10個だけ買ったけど全然使っていなかったもの。ルブするのはサボって、どれもストックのまま。

  • Thick Thock Marshmallow
  • Chosfox x JWK Hanami Pink Dango
  • Haimu Raw
  • Geon Yellow
  • XCJZ LUCY Silent Linear Switch
  • Lychee UHMWPE Linear
  • Sarokeys Strawberry Wine
  • Kailh Deep Sea Silent Box Switch
  • WS Aurora Clear
  • Haimu x Geon Linear

取り付けたお試しキースイッチたち

このキーボードはサイレントリニアと組み合わせるのが一番自分の好み。左右の親指のキーにつけたKailh Deep Sea Silent Box SwitchやXCJZ LUCY Silent Linear Switchが良い。他のスイッチもサイレントスイッチにしようかな?

格子配列を使って気づいたこと

自分のタイピングの癖

格子配列を使うと自分はzxcをことごとくミスタイプする。これは自分のタイピングの癖のせい。いわゆる「基本」ではcキーは左中指が担当することになっているが、自分は常に人指し指で打鍵しているということに初めて気づいた。このため、格子配列でcを押そうとすると人差し指が動いてvを打鍵してしまう。

おそらくこの癖は英語でよくある「ce」という連続打鍵を速くするためだと思う。英語ではcenterとかplaceとか、ceという連続打鍵は頻出する(と思う)。いわゆる基本的なタイピングの指の担当はどちらも左中指になる。同じ指で異なるキーを速く打鍵するのは難しい。

raw staggered配列の場合はcとeはそれぞれ人差し指と中指で無理なく同時に押すことができる。無理なく同時に押せる2キーは速く打鍵できるので、そのような最適化を無意識にしていたらしい。日本語ローマ字入力だと自分はcを全然使用しないので、英語の打鍵のためだと考えられる。

じゃあ他のキーはどうなっているか?意識しながら普段のタイピングをしてみると、zは小指、xは中指、cvbは人差し指が担当している(bは右人差し指でタイプすることも)。つまり薬指は使っていない。

なんてこった!長年ほぼ毎日キーボードを使っているし、なんならここ数年は自分で設計までしてキーボードを作っているくせに、今までこのことに全く気づいていなかった。格子配列キーボードを使ったことでこの無意識に初めて気づいた。いやー、面白いものです。

タイピングの基本的な指とキーの対応

自分のタイピングの癖を調べていたら、基本的な指とキーの対応ってどうなっているのかわからなくなったので復習した。 「キーボード タイピング 指」とかで検索すると、丁寧に解説してくれているウェブサイトが多く見つかる。 さて、下の図の指の対応は正しいでしょうか?

指とキーの対応(主要なキーのみ)。赤、黄、緑、青はそれぞれ人指し指、中指、薬指、小指に対応。

世間で「基本」となっている対応は、

  • 慣習的なraw staggered配列に従う
  • 指の負担をある程度均等にする and/or おぼえやすい

という条件から決まっているのだと想像する。ただしこれに従うと左右の指の動かし方の非対称性が大きい。まあ人間には利き手があったりと完全に左右対称ではないけれど、raw staggeredの基本と言われている指の対応は美しくないと感じてしまう。 (でもraw staggeredの見た目は好きです。)

さて、先に示した図は世間で言われている基本的な指とキーの対応と同じもの。ウェブの記事によってはこれを「正しい指の位置」などと記述しているが、この言葉選びは良くない。他は間違いであるという絶対的な印象を与え、物事の見方を狭めて本来はどうあるべきかと考える可能性を奪ってしまう。(こういう批判を書くとそういう自分はどうなのかと心配になる…。悪い表現があれば優しく諭してくださいませ。)

最良のキー配列と指の対応とは?

そんなこんなで最良のキー配列と指の対応は一体どんなものだろうかと考えてしまう。 市販のキーボードよりベター、私の最適解、というのを主張できる人は少なくないだろう(こんなことを書いている私の今の最適解はraw staggeredのQWERTY配列です)。 でもどうせならできるだけ多くの人に対してのベストに辿り着きたいもの。

この問題はキーボードオタクの間で様々な議論があるが、ほとんどの場合は何かしらの制約がかかっている気がする。 物理配列は設計・製作のしやすさに縛られがちだし、論理配列はよくある物理配列に制限されていて、また上に挙げた基本的な指の使い方に縛られていたりする。 競技タイピングをしている人は指の担当を柔軟に考えているけれど、raw staggered配列の場合がほとんどではなかろうか(競技のルールとかあるのかな?)。

最良のものがどんなものか自分には全然想像できないけれど、もしraw staggeredがデファクトスタンダードである現状を完全にリセットできたとしたら、最良な物理配列は別のものだろう。格子配列は左右対称の指の対応にできるし、指の対応を学習する際も素直でわかりやすい。これらの点でraw staggeredよりも最良な物理配列に近いのではないかという気がする。

あとがき

今回は自作キーボードキットのcool650を組み立てました。自作キットを組み立てるといろいろな気づきがあって勉強になります。 またこのキットのおかげで自分でわざわざ設計や部品発注などすることなく格子配列のキーボードを体験することができました。 格子配列のキーボードの存在は知っていましたが、知識として知ってることと体験して感じることはやはり全く別ものですね。

格子配列を使ってみたことで自分のタイピングの癖に初めて気づくことができました。まだ気づいていない癖があるかもしれません。あなたは自分のタイピングの癖を完全に把握していますか?

この記事は自作キーボードcool650で書きました。