あなたにとって理想的なキーボードはどんなものですか?
自分はこの問いの答えをずっと追い求めてキーボードを自作しているように思います。ケースについて考えると、立体的な形状や打鍵音への影響、質感という点でアルミ削り出しが良い気がしています。でも個人的にアルミ削り出しケースを製作するのはハードルが高い。なので、見た目が好みなカスタムキーボードを購入してPCBだけ自分で作り変え、見た目・質感・使い勝手すべてが好みのキーボードを手に入れることを妄想しています。これ、間違いなく最高になるはずです。
ただ、私はこれまでカスタムキーボードを購入したことがありません。自分はケチなので、お高いカスタムキーボードの購入は抑制的にと考え、キー配列と見た目の好みのANDという条件でふるいにかけることによって、何とかこれまで散財を免れることができています。
ではどのような意匠がいいのでしょうか?こう問われると、実はよくわかりません。私の好き嫌いなんて論理性も合理性もないですが、これを完全に把握できれば(そして技術とお金さえあれば)自分で設計・製作することもできるかもしれません。そこで、自分がいい!と思ったキーボードを列挙し、自分の好みを分析してみます。これはそんな私の好みをただ垂れ流すだけの記事です。
目次
魅力的に感じるキーボードたち
Nomu30
このキーボードは何度見ても本当に素敵。上面からPCBが見えないようにしているこのミニマルなデザインはやっぱり格好いい。一目惚れする人も多いのではないだろうか? こちらは設計者のrecompile keysさんの記事。
Nomuという名前は濃霧からきていたんですかね。
キーボードの外形は四角になりがちだけれど、あえてなのか結果的になのか、非対称な外形になっている。またキー数の少ない配列でISOエンターを使っているのは他には見ない気がする。これらの特徴によって他のキーボードには無い独特の佇まいとなっている。Twitterでnomu30と検索するとたくさんの素敵な画像に出会えて幸せになれます。
見た目はすっごいドストライクなんだけれど、このキー数で使いこなせる気が全くしない…。キーボードには第一に機能性を求めているので、見た目は最高だけど間違いなく飾るだけになってしまうので手が出ない。
Moment
Cannon keysのMomentはカスタムキーボードでこれは!と思ったキーボード。ケース側面の曲線がとても美しい。キーボードを左右で持つときに手にフィットしそうな形状に機能美を感じられる点もプラス。
Moment Keyboardcannonkeys.comFinal week for the Moment GB! This 60% keyboard is offered in WK, WKL, and HHKB layouts in E-White, Dawn, Dusk, and Midnight. Each keyboard features a sandblasted steel weight with a hand written "Moment" engraving! GB runs through 10/16 11:59PM ET!
— CannonKeys (@CannonKeys) 2022年10月9日
Link in bio for more info. pic.twitter.com/XBTqdnmFH6
GBに参加しようかと思ったけれど、お値段がお気軽ではなかった…。だいぶ迷ったけれど60%サイズであったこと(65%サイズが欲しい)からぐっとこらえた。
Ripple TKL
もう一つCannon keysから。このキーボードは底面のウェイトに波紋が立体的に表現されている。この曲面がとても美しい。さらにウェイトとケースを合わせるところも曲面になっていて、設計・製作もすごい。この業物感も非常に惹かれるポイント。ただテンキーレスは自分はもはや大きすぎると感じているので見送った。
Ripple TKL by Upascannonkeys.comThe Ripple TKL group buy launches tomorrow! Check out the link in bio to preview the collection.
— CannonKeys (@CannonKeys) 2023年1月11日
📅 Add event to Google Calendarhttps://t.co/lIWVrGFVKn#cannonkeys #keyboards #rippletkl #tklkeyboard #keycaps #customkeyboards #mechkeys #mechanicalkeyboards #customkeebs pic.twitter.com/1J161oht4d
7V
このキーボードはなんと言っても右上のロゴがクール。ロゴ自体に高級感を感じるし、ケース上面にロゴのバッジをはめ込むという構造も凝っている。名前も短くシンプルでいい。また側面からウェイトが見え、単純な台形のシルエットではないもの良い。このロゴを見る毎に機動戦士Ζガンダムを思い出すのは私だけ?
dissatisfaction30, disorder30
自分はマクロパッドの見た目に魅力を感じることがないのだが、これには惹きつけられた。
かわいい、という言葉が最もしっくりくる。普通のキーボード配列に似せてキーレイアウトを作っていて、これが子供向けキーボードに見えるからだろうか。子供向けのおもちゃとか、かわいいですしね。
自作したキーボードケース(自画自賛)
これまで自分で設計・製作した自作キーボードの中にも一部が自分の好みの意匠に仕上がったケースもちょっとだけある。
鏡面ステンレスを利用したケース
初めて見た目にこだわって作ったケース。
Keyboard: self-made keyboard (68 keys)
— 機嫌を損ねたシェフ (@kgnwsknt_chef) 2021年12月19日
Switch: DUROCK Full POM + UHMWPE stem
Keycap: MT3 Extended 2048#KEEB_PD #KEEB_PD_R75 pic.twitter.com/MF9GnlT83D
アクリル積層の最上面に鏡面仕上げのステンレス板を使用したもの。レーザーカットされた板の角を削ってRをつけ、切断面も頑張ってヤスリがけして磨いた。すごい大変だった...。この頑張りのおかげで手触り感がいい。外形も単純な四角にするのではなく微妙に曲線にした。デザインセンスがない割には結構いい感じに外形の曲線を作れたと思う。
ケース上面は狙い通りでかなり満足度が高い。しかし側面はアクリル積層で横から見ると上面との質感のギャップが大きい。全体として統一感がないので改善の余地がある。
自作した分割キーボードのベゼルの曲面
自作した中でもう一つのお気に入りは分割キーボードケースのこのベゼル部分。
ケースはJLCPCBで3Dプリントしてもらったものを自分で塗装したもの(詳細はこちらの記事)。広めのベゼルの緩やかな曲面、塗装したメタリックブルーの落ち着いた色と質感は、我ながらいい仕事している(自画自賛)。ただこのケース奥側の広いベゼルは他の箇所とバランスが悪いし、自分はどうも広いベゼルは好みではないらしい。さらにチルト角をつけすぎて打鍵しづらいのでこのキーボード全然使用していない…。
40%サイズのキーボード
40%サイズのキーボードは全然使いこなせないくせに見た目に惹かれることが多いように思う。
MiniVan
40%キーボードで検索するとよくヒットする。右下は十字キーではないキー配列のほうが個人的には好み。キーの境界が十字になるところがなくなり、配列が完全Raw staggeredという感じがするから。でも自分は矢印キーが無いと使いこなせる気がしない…。
Vortex CORE
これは市販品の40%サイズのキーボード。カスタムキーボードを知る以前で唯一見た目に惹かれたもの。Nomu30と同じように上面からはキーキャップ以外見えないようなミニマルなデザイン。また、キーキャップの印字が小さめなのもキーボードのコンパクトさとマッチしている感じがして良い。これに憧れて自分でキーキャップに昇華印刷したほど(詳細はこちらの記事)。今は販売終了となってしまっていて寂しい。Vortex Keyboardから購入できる。
自分が魅力を感じるキーボードの意匠とは?
ここまでに挙げたキーボードの意匠について魅力を感じる要素・キーワードをリスト化してみる。
- ミニマル感
- 外形の大きさ、(縦横比?)
- キー数?
- 曲線・曲面
- 非対称性
- OrtholinearではなくRaw staggered
- 質感と色
- 金属光沢
- 金属の鏡面仕上げ
- ベゼルの広さ
- Nomu30のようにケースの存在がわからないくらいのもの
- あまりにベゼル幅(>30mm?)の広いものには惹かれない
上に挙げたキーボードを見てみると、ミニマル感のある小さいサイズのキーボードに惹かれる傾向がある。特に40%サイズのキーボードはたいていどれも魅力的に見える。これ、いまだに何故だかわからない。
40%くらいのサイズだと片手で(楽に)持てるようになり俺のキーボード感がある。
外形の縦横の比率や片手で持てるサイズ感が要因かと思ったけど、同じサイズでも狭ピッチでキー数が多いと惹かれない気がする。携帯用のコンパクトな市販品のキーボードはキーサイズが小さいくキー数も40%に比べると多く機能性が良いのだが、見た目に惹かれたものはない。外形とキーの大きさの比率も重要かもしれない。
あるいはキー数が少ないと、機能的なミニマルさを感じられるのが理由なのだろうか?キー数が少ないのは不要のものを除いて必要最小限だけ所持するミニマリストの文脈という気もするし、無駄を省いた質素・シンプルさが禅に通じているような気さえする。でも、もしかしたらこんなに少ないキーでも使いこなせるんだぜ、とドヤりたいだけかもしれない(実際には使いこなせないのでドヤれない…)。
別のポイントとして、曲線・曲面に惹かれる傾向があるように思う。なんとなくこれは自覚があるので、これまで設計・自作してきたキーボードケースにその要素を取り入れようとチャレンジしてきた。ワンポイントでは成功例があるものの、トータルでいい感じにはできていない。まだまだ修行が足りない…。特に3次元的には自分でいい感じに作れる気が全くしないので、やはり心に刺さるカスタムキーボード(ケース)を手に入れるのが近道な気がする。
もう一つのキーワードは非対称性な気がする。Numu30は外形が非対称になっていて、一般的なキーボードの四角い外形とは違うことでユニークさを感じられる。またキー配列についても非対称な見た目が好みな気がする。これまでOrtholinearのキーボードの見た目に惹かれたことがない(使ってみたいとは思っている)。普段使いのためにも慣れているRaw Staggeredのキーボードばかり自作してきたが、Raw Staggeredのキー配列で一部にOrtholinear感があると見た目がイマイチだなと感じる。実際自分で40%キーボードを設計・製作したときは、一部キーの境目が十字になる箇所ができたが、どうも見た目的にはこれが好みではない。MiniVanを美しいと感じるのはそういう箇所がないキー配列だからかもしれない。
金属というのもキーワードだろう。おそらく金属光沢やずっしりとした重量から高級感を感じられるというのが理由な気がする。また、耐久性が高い(これは塗装によるかも)、重量により打鍵音が好みになりそう、などの機能的な面もあるかもしれない。
わからないのはベゼルの広さ。例えばVortex COREはベゼルを最小にして上面から見た場合のケースの存在感を消している。逆はどうか?以前自作した分割キーボードはかなりベゼルを広く取ったが、曲面は気に入ったけれど広すぎるベゼルは好みではないことがわかった。いまだにどれくらいの幅を取るのが良いのかわからないが、いくつか自作したキーボードのケースを眺めていると、5-15mmくらいのベゼル幅は違和感がない。ただ意匠という点ではある程度幅がないと何かを表現するのは難しくなる。ある程度の広さあったほうが表現の幅が広がる気がするけど、何mmくらいが自分の好みにマッチするかはキー配列やキー数とのバランスとかがありそう。
欲しいカスタムキーボードケース
自分は今のところの使い勝手の点から65%サイズのキーボードを常用している。このサイズのカスタムキーボードはたくさんあるけれど、どれも矢印キーの隣にブロッカーがある。これがちょっと自分は受け入れられない。
自分は左矢印の隣にModifierを配置して、これと矢印キーを組み合わせてPage Up/Down、Home/Endに割り当てている。この割当ては直感的なので学習コストがなく、使い勝手がいいので気に入っている。以前このModifierを左矢印キーから1u離したところに配置したときにはかなり使いづらかったので、0.5uのブロッカーがあるのはかなり躊躇する(試していないので実は問題なかもしれないけれど…)。
またケースにブロッカーがあるとキー配列にかなり制約をかけることになり、キー配列をいじる可能性を消されている気がしてしまう(まあ多分いじらないだろうけれど)。ブロッカーいらないので、キーボード部分が四角い私好みのカスタムキーボード(ケースだけでもいい)を誰か作ってくれないだろうか?(他力本願)
あとがき
今回の記事では自分の好みを垂れ流してみました。好みの要素はある程度整理できた気がしますが、これらを含んだケースがどんな形なのかいまいち想像できません。ただ、美しい曲面を持つ40%サイズのカスタムキーボードとかあったら一目惚れしてしまう気がします。custom keyboard 40%のキーワードでGoogle画像検索して探してみましたが、幸か不幸か見つけられませんでした(まあ40%サイズは市場が大きくなさそうだし誰もやらなそうではある)。ただ私が知らない&見つけられないだけかもしれなくて、出会ったら使いもしないのに大枚はたいてしまいそうで恐ろしい…。知らないほうが良いのかもしれない。
この記事は自作したオリジナルキーボードunity69で書きました。