打鍵音ほぼエンドゲームの自作キーボードが完成した

ついに打鍵音に満足いく自作キーボードが完成した。今回の記事はそのキーボードについて紹介します。

タイピング音

タイピング音はこちら。

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ケース構造・マウント方式

もともとはプレートレスPCBガスケットマウントキーボードとして設計したもの(ケースの詳細はこの記事を参照)。PCBにスイッチをはんだ付けするのでスイッチの位置固定用のプレートは必要ない。PCBにはガスケットをつけるために前後4ヶ所ずつにタブがついている。ここに5mm厚のPoronフォームを底面側につけて、キーボード部を下からケース底面で支える。

 

PCB上面側には5mm厚のシリコーンゴムシートを両面テープで貼り付け、このシートの外周部分をケース天板で抑えている。同じ厚さのPoronフォームと比較すると、シリコーンシートの方が打鍵音をマイルドにできるように思う。密度が高い分だけ防振能力が高いということだろうか?

 

しかしこれだけだと打鍵時の振動が大きく、打鍵感がバインバインでどうも自分の好みではない。そこでPCBーケース底面の間に衝撃吸収フォームを挟んでいる。この手のフォームは本来、PCBーケースの間の空間を埋めて音が反響するのを抑制するという狙いで入れられていると思う。そのため、通常はぎりぎりつぶれないような厚さになっていると推測している(いまだにカスタムキーボードを買ったことがないので実際を知らない)。自分的にはフォームが少し潰れるくらいに押し付けた状態のほうが打鍵音がコトコトした感じになって好みの音色になるような気がする。このキーボードでは押し付け具合の調整のために、衝撃吸収フォームの下にさらに1mm厚のフォームを入れている。

 

下の写真はアクリル積層ケースの側面を取り外した状態の写真。PCBのタブにつけた5mm厚のPoronは結構つぶれていて、底面に敷いている黄色い衝撃吸収フォームもPCB底面にピッタリくっついて、PCBから少し飛び出しているスイッチのピンのところでは少しつぶれた状態となっている。

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ケース側面のアクリルを外した状態

 

こうなるとPCBはガスケットタブの部分をケースで支えられているわけではなく、PCB底面全体を下から支えている状態になる。これはよくあるガスケットマウントとは違う気がする。フォームマウント?でも上面はシリコーンシートでケースと接している。何マウントと呼べばいいんだろう?

 

PCBのスタビライザーのステムがあたる部分は穴を空けてある。これによりスタビライザーのついたキーを打鍵したときの底打ち音をかなり低減することができる。シリコーンシートを使ったことにより控えめな打鍵音となっているので、スタビライザーがついたキーだけ打鍵音がやたら目立つ、というのを避けることができる。

 

キースイッチ

キースイッチの選定のために次のリニアのスイッチを試した。

  • Gateron yellow (milky top, black bottom) + UHMWPE stem 
  • Gateron yellow (milky top, white bottom)
  • MOMOKA Flamingo
  • MMK Frog
  • Gateron Box Ink Pink
  • Wuque Studio OA swtich
  • Lychee UHMWPE Linear

どれも同様にKrytox GPL205g0でルブし、下図のように3個ずつ取り付けて1週間くらい使用してみた。また、SA-P、MT3、MDAプロファイルのキーキャップを嵌めて打鍵音を比較した。

いろんなスイッチを試してみる。中央以外はGateron yellow(milky top, bottom black)にUHMWPEステムを入れたもの 。

比較からGateron Box Ink Pinkが一番自分の好みであるとという結論に達した。滑らかであり、またBoxタイプの特徴であるステムのぐらつきが小さめであること、そして何より打鍵音が抑えられている点が良い。トラベルが短めは自分は全然使ってこなかったので、合わないか少し心配したが杞憂だった。慣れれば全然違和感はない。強いてこのスイッチの欠点を上げるなら価格か?他のスイッチと比較すると少しお高め。

 

他のスイッチについても簡単に感想を述べておく。Gateron yellowは何よりコスパが素晴らしい。打鍵音が抑えられていいのだが満点まではいかない。若干のかすれる感じがある。MOMOKA Flamingo、MMK Frogはどちらも悪くないのだが、打鍵時の底打ち音、戻ってくるときの音がGateron Box Ink Pinkに比べて大きいと思う。Lycheeは打鍵音の点では音が抑えられていて自分の好み。ただしキーの奥側をタイプするとかすれる感じがしてしまう。またSA-Pのキーキャップは緩くてしっかりはまらずに結果として打鍵音が残念になる。これはどちらかというとキーキャップ側の問題な気がする。他のUHMWPEステムでも同様にはまりが緩いし。OA switchは打鍵感・打鍵音ともに良いのだが、Gateron Box Ink Pinkに比べると少し戻りの音が大きいか?(どれも個人の感想です)

 

キーキャップはMDAを使うことにした。これが一番打鍵音がしっくり来る気がする。これまでずーっと背が高いプロファイルのほうが打鍵音が低音に寄って自分の好みになると信じていたのだが、どうも心地良いと感じるのはそれだけではないみたい。MT3は何だか軽い感じがしてしまうのに対してSP-Aはちょっと打鍵音が強すぎる印象。これはキーキャップの厚さだろうか?あるいは音の高低とケース等との相性なのだろうか?やっぱり打鍵音はいつまでたっても「完全に理解した」にならない。

 

スタビライザー用キースイッチ

はじめスペースキーにもGateron Box Ink Pinkをつけたが、このスイッチはトラベルが短いせいか、打鍵時の底打ち音がとても目立ってしまう。これではせっかく空けたPCBスタビライザー部分の穴が活きないので、スタビライザーありのキーについてはトラベル長めのスイッチに変更することにした。

 

はじめMOMOKA Flamingoを試した。トラベルは3.9mm。狙い通りに底打ち音をかなり抑えられたのだが、一方で押し下げた後に戻ってくるときの音が大きくて、これもタイピング時の打鍵音のバランスが悪い。この戻りの時の音はルブで変化することが多いけど、このスイッチではそこまで抑えられなかった。自分が求めているのはこのスイッチではない。まあでもトラベルが3.9mm以上であれば底打ち音は小さくなることが確認できた。

 

つぎにOA switchを試した。このスイッチだと底打ちも戻ってくる音も抑えめで、かつ滑らか。タイピング音のバランスが良くなったのでこれを採用することにした。

 

まとめ

ついに打鍵音が満足できるほぼエンドゲームの自作キーボードが完成しました。「ほぼ」とつけているのは、木製の机の振動音がやや気になってしまうこと。ケース底面の足の下に5mm厚のPoronフォームを敷くと幾分ましになるけれど、家の机との相性はイマイチかも。まあほとんど気にならないですけどね。

 

最初に組んだGateron yellow (bottom black, top milky)+UHWMPEステムの打鍵音(打鍵音はこちら)と比較すると、音の違いはわずか。カサカサ音は少し低減して、なんていうか、もう少しはっきりとした打鍵音になっていると思う(音色を文字化するのは難しい…)。

 

打鍵音が心地よいのに加えて音が控えめなので職場で使おうかなと考えています。そうすると自宅用にメインに使うキーボードがもう一台欲しくなります。打鍵音に満足したので、違う要素に注目してキーボードを自作しようかなと考えはじめています(何台作れば気が済むのか…)。

 

この記事は打鍵音ほぼエンドゲームの自作キーボードchex68で書きました。