これまで自作したキーボードの打鍵音を録音して比較した

感度の良いマイクを購入したので、これまで製作したいくつかの自作キーボードの打鍵音を録音しました。今回はそのことについて。

概要

これまで自作した4つのキーボードの打鍵音を録音して比較した。この記事と同じセットアップで1分間の打鍵音を録音。ややゆっくりしたペースで打鍵したほうが音を堪能できる気がしているので60WPM程度の速度で打鍵した。動画に編集するときに音声のゲインを10dB上げた。

 

それぞれのキーボードの打鍵音と特徴を作成順に下に記載しています。キースイッチやキーキャップ、プレート素材などの情報はYouTubeの動画説明欄をご参照ください。

 

初めて作ったガスケットマウントキーボード(chex68v3)

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初めてガスケットマウントを採用した自作キーボード。ケースはステンレス3mmで底板、側面はアルミで構成。側面は固定用のねじがいっぱいで見た目がいまいちだけど、リストレストを置くのでそこまでは気にならない。上面は見た目と手触りを意識してMDFの木材を使用し、Watcoオイルで仕上げた。

 

スイッチプレートのガスケットタブを受ける部分はアクリルで作成して側面、底面に固定。ガスケットタブ上側は上面のMDF材の板で押さえている。

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ケース内部の構造

これ以前に自作したキーボードはスイッチプレートむき出しのデザインだったが、ガスケットマウントにしてスイッチプレートをケース内に収めるようにしたのでだいぶ打鍵音のやかましさが低減した。ただしガスケット上面側はMDF材の板で押さえているために静音性はそこまで高くない。

 

アクリル箱組ケースの40%キーボード(haze46)

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初めて作った40%サイズの自作キーボード。詳細はこの記事。ただしケース内のパテは除いた状態。初めて挑戦したアクリル箱組のケースがきれいに作れたし、キーキャップへの自家昇華印刷もきれいにできて、自分にとってはいろいろ学びの多かった自作キーボード。

 

打鍵音は可もなく不可もなくという印象。キーキャップは背の低いDSAプロファイルであるためか音が高め。

 

ステンレスで遮音性を高めたガスケットマウントキーボード(chex68v5)

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遮音性と見た目の質感に重点を置いて作った自作キーボード。ケース概要は以下の通り。

  • 銅プレートのガスケットマウント
  • ケースの上面、底面は3mm厚のステンレス
  • ケース側面はアクリル5mm厚x3の積層
  • プレートとPCB、PCBとケース底面の間に3mm厚のPoronシート

ケース上面の3mm厚ステンレスは遮音性を高める狙いがある。また、ガスケット部分は側面のアクリル積層部に実装しており、ケース上面のステンレス板には触れないようにしている(下図)。これで上面のステンレス板に音が伝わりにくいようにしているつもり。

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(左)ガスケット部断面、(右)上面図(ステンレス板を非表示)

 

これまで作った自作キーボードの中で最も音が静か。市販の静音キーボードと比べても静音性は優れていると思う。音色も繊細で上品な印象。作った当時は打鍵音がEndgameに達したと思っていた。


※これまでのブログ記事ではこのキーボードをchex71と表記していましたが、キー数を反映させてchex68としました。71は最初71キーの日本語配列で作っていたことが由来。キーキャップの選択肢がないので、ある時から英語配列の68キーになりました。

 

プレートレスPCBガスケットマウントキーボード(relief64)

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Equinox XLやTheta75に触発されて自作したスイッチプレートのないPCBガスケットマウントのキーボード。詳細はこちらの記事

 

打鍵音は一番のお気に入り。音の大きさはおとなしくはないが、好みのコトコトとした音に近い。Gateron pro yellowは若干カサカサした打鍵感・打鍵音があるが、カサカサの打鍵音はASMR的でプラスに働いているのかもしれない。この打鍵音の心地良さのために最近はこればっかり使っている。

 

周波数スペクトルの比較

せっかくのなので、これまでやっていた打鍵音の周波数スペクトルの比較もしてみた。以前使用していたマイクの録音(点線)だと8kHzくらいから急激に落ちていて、高音への感度がないことを表している。ただし新たに導入したDR-07Xも10-20kHzあたりからどれも急激に落ちている。まあ可聴域は20kHzと言われているからそんなに問題にはならないのかもしれない。

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タイピング音の周波数スペクトル

この3つの中ではrelief64の打鍵音が一番好みだが、これは5kHzを超える高い周波数帯が抑えられているのがポイントではないかと思う。以前周波数解析したときにローパスフィルターで数kHzの周波数帯を低減させたときの音が好みだったが、これと音が似ている。ただし打鍵音は静かではなく結構やかましいので使う場所を選ぶかも。もう少し底打ちの音を柔らかくしたいところ。

 

一方でchex68v3とrelief64は2kHzより高い周波数帯ではだいたい似たようなスぺクトルの形をしているとみることができる。でも実際の音はだいぶ違うと思う。周波数スペクトルを見ても打鍵音はやっぱり想像できない…。時間変化も見ないと違いは見えてこないということだろうか。

 

打鍵音が一番静かなのはchex68v5。銅のプレートのためか打鍵音が硬い印象があるが、割と静かなので音の印象は上品な感じがする。この音の硬さは、10kHzのピークに対応しているのだろうか?

 

あとがき

いやー、録音した音で直感的に打鍵音を比較できるっていいですね。しかしガスケットマウントでもケースによって打鍵音が全く違うのは面白い。relief64の打鍵音はいいけれど、やっぱりカサカサした感触や音が少し気になる。感触はより滑らかで、打鍵音はもう少し控えめで似たような音色にしたい。うーん、でもこのカサカサ音が好みの音色なのか?自分の好みがわからなくなってきた…。

 

この記事はプレートレスPCBガスケットマウントの自作キーボードrelief64で書きました。