キーボードのこだわりポイントの一つ、打鍵音。これを追求していくと打鍵音を録音しておいてスイッチ、キーキャップ、ケースフォーム等を変更したときにどのように変化するのかを比較したくなります。その欲求を満たすために新しくマイクを導入しました。今回はそのことについて。
きっかけ
配列、打鍵感、キーキャップが自作キーボードのメインのこだわりポイントだと思う。これらについては自作したキーボードがそれなりに満足のいく水準に達している。そうすると次に気になりはじめるポイントは打鍵音。
打鍵音で最も重要な要素はキースイッチ。これを変えてどのように打鍵音が変化するかは、ソケット式(いわゆるホットスワップ)であれば容易に比較することができる。
困るのはそれ以外の要素を調べるときだ。例えばケース内のフォームのあるなしで打鍵音を比較したい場合は、記録する術がなければ耳で聴いた音を記憶しておき、キーボードを分解してフォームを入れて組み立て、打鍵して音を比較する。しかし分解・組立で結構時間がかかるので、結局記憶している音との比較になる。人間の記憶ほどあてにならないものはないので、これでは客観的な比較は全くできない。
どうにかしたいなーと考え、これまでは(安価な)マイクで録音した打鍵音の周波数スペクトルを比較して変化を調べていた(例えばこの記事)。この方法では客観的に打鍵音を評価できるのだが、問題だったのは、
- 周波数スペクトルを見ても音が全く想像できない。
- 録音した音を聴くと、高音が拾えていないせいか籠ったような音なっている。実際の打鍵音とは全く違う。
ということ。なのでいいマイクがずっと欲しかったのだが、お高いマイク買ってもどうせキーボード打鍵音しかとらないしなー、と思って自制していた。
ただ、2021年に作ったプレートレスPCBガスケットマウントの自作キーボードの打鍵音がかなり心地よくてエンドゲームまであと一歩だと考えていること、年が明けて何か新しいことがやりたくなったこと、そして打鍵音に聴き惚れた動画(後述)に出会ったことが決定打となり、ちゃんとしたマイクを導入することにした。
どのマイクを導入するのか?
さて、打鍵音を録音するのに適したマイクは何だろうか?とりあえずYouTubeのタイピング動画をいろいろ見てみる。詳細欄に使用機材をちゃんと書いてくれている動画がちらほらあり、マイクについて調べてみると
- audio-technica AT2020
- Boya MM-1
- Shure MV7
等が使われているようだ。そんな中、心を奪われた印象的な動画に出会う。
録音セットアップ
タイピングは主にアルファベットキーなので、左右のほぼ中心となっているGキーの正面にマイクを設置する。
打鍵対象は10FastFingers.comのタイピングテスト。これを1分間録音する。普通にやると平均で90WPMくらいのスピードが出るが、なんかこれくらいのタイピング速度だとせわしい感じがしたので、advancedのほうでゆっくり目でタイプした。だいたい60WPM前後のタイピング速度。これくらいのほうが打鍵音を堪能できる気がする。
録音した打鍵音を再生してみると、実際と完全に一致するとまではいかないものの、かなり耳で聴いた打鍵音に近いと思う。少なくともこれまで使用していたマイクに比べればかなり再現性が高い。ただしこれはPCにつないでいるスピーカーで聴いた場合。イヤホンやヘッドホンなどほかのもので聴くと印象が違うかもしれない。
音源の編集(ノイズ除去、ゲイン)
音量を大きくすると高音のピーというようなノイズ音が気になったので、Audacityを使ってノイズを除去した。4-5秒無音で録音してそこでノイズプロファイルを取得してノイズを除去した。この操作の前後で打鍵音が変わった印象はない。既製品キーボードの打鍵音
まとめ
念願のまともなマイクを手に入れて良い感じに打鍵音を録音できるようになった。これでModの効果をより直感的に比較できるようになるはず。次は自作したキーボードの打鍵音を録音しようかな。
この記事は自作したプレートレスPCBガスケットマウントrelief64で書きました。